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北海道文学を中心にした文学についての研究や批評、コラム、資料及び各種雑録を掲載しています

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 帰塵亭通信 抄  2000〜2003

おりおりに書いたご挨拶のダイジェストです。

アモルファスな世紀末を突き抜け首都最深部へ!
 7月1日付で、ひょんなことから三度目の東京勤務となりました。今回は新聞社を離れ、品川・港南口にある事務局に8月から出向の予定で、当分は見習いをして過ごします。広い舞台を与えられる編集者としての新たな抱負は改めてご報告致します。
 多くの皆様には忙しさを理由に、挨拶が遅れてしまいました。編集局文化部、整理部在籍中は本当にお世話になりました。ここにお礼を申し上げます。戴いたご厚情、宝としてこの身にがっちりと受け止め、拙くはありますが少しでも前に進みたいと思います。
 東京の住まいは江東区住吉に構えました。深川・門前仲町から本所・吾妻橋、東駒形の6年間で味わった墨東暮らしの魅力にはかないません。隅田川からは少し離れていますが、運河が張り巡らされた江戸下町の情緒がまだ残っています。上京の折はご連絡いただくと、浅草から錦糸町・亀戸・木場界隈を案内できると思います。
 2000年7月


狂いし「太陽の季節」 三宅島噴火、首都戒厳令
 熱い暑い夏がようやく終わりました。皆さまはいかがお過ごしですか? 体を壊していませんか? 本当に「こんなに東京は暑かったのかしら」と、驚いているうちに8月が過ぎていきました。考えてみると、あまり建設的な仕事をしてません。映画も東京にきてからは2カ月で15本くらいしか見ていませんね。通勤は約45分か。それで少し本は読めています。
 会社と自宅を往復するだけだった札幌に比べると、こちらは変化に富んでいます。品川から銀座に出向いたり、全国に出張したりする機会も少なくありません。大袈裟に言えば日本というか自分自身を見直す契機にはなりそうです。
 9月に入り、東京では自衛隊が出動して防災訓練なるものが行われました。石原という都知事はよほどの排外主義者らしく、外国からの侵略に備えるために自衛隊を繰り出して防災訓練をしたのだそうです。世紀末の首都を自衛隊が占拠するなんて悪夢のような本当の話です。
 2000年9月



下町もジャスコ ヨーカドー ダイエー PC時代
 江東区の南砂・木場周辺は最近、大型店の出店ラッシュです。一応、パソコンおたくの小生としては、安売りで評判のヤマダ電器オープン・セールに行きました。10時開店に1万人は並びましたね。で、2時間遅れて入店したら、狙っていた激安の東芝ダイナブックは影も形もありませんでした。反動で錦糸町のヨドバシカメラに行き、シグマリオンというモバイルギア系のWindowsCE機を買いました。これはちょっと遊べます。CEって、軽くてインストールが簡単ですからDOSっぽい感じです。
 錦糸町は墨田区になりますが、いわくつきのそごうデパートが閉店です。底辺から国際化の風俗街に、バブル百貨店は似合わなかったということでしょうか。
 2000年11月

まつろはぬ 蒼氓の夢 太古の海 いのち旅せり
 20世紀も最後ですね。21世紀には50歳になるのだなあと思うと感慨深いものがあります。今年を走り抜ける自分なりのイメージはあったのですが、力不足でした。「死すべき組織権力を解体し、関係的自立の再構築を」と題した自己猛省文を見れば、大言壮語と現実の落差に赤面します。もっとも「大衆こそ主役」の時代は間違いなく動き出しています。世界史的には「あと一歩」です。
 三木成夫「胎児の世界」(中公新書、本体700円)を読みましたか? 少し古い本ですが、「舌からうろこ」が落ちますよ。本当に! 内臓感覚とか宇宙生命なんてことが、すべてわかります。科学の凄さ怖さが満ちています。個体発生は系統発生を繰り返すのですよ。
 PS2を買いました。「ファイナルファンタジー\」を始めましたが、どうも腕は上がりません。でもDVDが見られます。早速「ブレードランナー」と「マトリックス」を続けてみました。前者のほうが傑作ですね。とはいえ世紀末から新世紀のうねりを共に見事に描いています。
 今年は映画館で160本しか見られませんでした。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」「マグノリア」「オール・アバウト・マイ・マザー」「サイダー・ハウス・ルール」「タイタス」「倦怠」「人狼」「アメリカン・ヒストリーX」「漂流街」「マルコヴィッチの穴」なんかが印象的でした。
 2000年12月          


春は桜  サクラ錯乱  騒乱の唯物論  
 前回「死すべき組織権力を解体し、関係的自立の再構築を」という古いテーゼを紹介しましたが、2001年論はHPに書きました。日本国首相の森喜朗氏の生態については呆れてものが言えません。しかし、最近はこうしたトンチンカンな人が首相になる国というのは、まだいいのかなあ、と考えております。実際、有能な官僚政治家の登場を想像すると、オーウェルの1984じゃありませんが、きっと息苦しい統制社会が来ますよ。それじゃあと石原慎太郎のようなポピュリズムの政治家がやってくると、まあ弱肉強食のファッショでしょうね。耳障りのいい言葉で、わしらは淘汰されるんですよ。
 だから、大衆の自立の見地から言うと、みんなが週番というか便所当番のような感じで首相ができる時代が一番いいのですが。森さんは似合いそうですがねえ。
 政治が悪い悪いといいますが、やはり下部構造というか社会的諸関係ですか、経済やら組織や共同体やらのいろんな根本の部分が、腐っているから政治がよくならないと思います。政治過程論じゃなく唯物論と共同体論こそが肝要。自民党や与党がダメなのではなく、それを支える利益共同体(企業・宗教組織)が腐っているんです。
 東京は、墨田も花のお江戸よろしくサクラが爛漫に咲き乱れています。花の元にて春死なん? 酔生夢死!
 2001年3月


ご挨拶に代えて 
 人波ぎらつき澱み関係ざらつく東京から、天高く山影のび広き道に輝く川面におい立つ上川離宮の夢伝う北京へ―。三月一日付で部長を命ぜられて、小生、身を引き締め着任いたしました。
 二年半余にわたる在任中、本当に多くの皆様との出会いがあり、そのご厚情に励まされ支えられて得難い体験をすることができました。目をつむれば、一人ひとりのお顔や仕草が思い浮かびます。有り難うございました。必ず必ずまたいつの日か、お会いましょう。
 旭川は東北以北で札幌、仙台に次ぐ北都です。大雪山系の清浄な水に恵まれ、有数の米どころ酒どころ。北は稚内、南は富良野、東は北見枝幸、西は留萌まで、日本一広い岩手県並みのエリアを一線支局の仲間とカバーします。タウンニュース報道が軸になりますが、それこそ僕たち地方紙の原点であり、生活者との触れ合いは記者冥利。言わずもがな不況は深刻で困難を数えれば切りがありませんが、アイデアでは負けません。可能性の塊たる若い力と共同で一つでも新しいことをできれば本望です。
 重ねた馬齢もとうに半世紀を超え、語り来し理想と為せし現実の落差を思えば愕然とします。だが夢のない人生なんてつまりません。リアリストこそロマンチストたるべきです。再出発の今、わが中高年の諸兄姉よ友よ羞じらいを捨て伝えます。
「僕たちはまだ何も終わっちゃいないぜ」
 二〇〇三年三月


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