シネマミーハーらくがき帳 1999〜2003
なんというか、映画に嵌まっていた頃があり、雑文を書きまくっていた。
シネマ・グラフィティ・ノート 2000年 その9
*115<328>「千里眼」
麻生学監督。水野美紀。黒木瞳。根津甚八。柳葉敏郎。松岡圭祐原作。
「ミドリの猿」という謎の組織のメンバーが日本国内で破壊活動を続けていた。それを「千里眼」を持つ心理科医師が阻止しようとしていた。だが、事件は収まらなかった。ひょんなことから医師を知った女性自衛隊員。次第に彼女に惹かれていくが、ある陰謀が進行していた。
水野美紀は「現実の続き夢の終わり」でも活躍した売れっ子だ。明らかに「マトリックス」に影響を受けたカンフーアクションはみものだが、水野の存在感は今ひとつだなあ。
一方、謎のセラピストに黒木瞳。「破線のマリス」のほうがよかった。ちょっと悪役はどうなのかなあ。「催眠」 の作者の作品だそうだが、ならば菅野美穂ちゃんが出て欲しかった。
*116<329>「ビッグ・ダディ」
デニス・デューガン監督。アダム・サンドラー。ジョーイ・ローレン・アダムズ。ロブ・シュナイダー。
法学部を出ながらフーテン暮らしをしているソニー。ひょんなことから親友の隠し子の面倒を見る羽目に。恋人には逃げられ、ちょっと危ない友人たちと悪銭苦闘の子育てが続く。
アダム・サンドラーが相変わらず大活躍。この人は不思議だなあ。「ウォーターボーイ」にしろ「ウェディング・シンガー」にしろ、完全に普通じゃない人間を普通にやっているのがおかしい。本作は、その毒がやや弱いか。ジョーイ・ローレン・アダムズは「チェイシング・エイミー」のほうが魅力的でした。
*117<330>「エドTV」
ロン・ハワード監督。マシュー・マコノヒー。ジェンナ・エルフマン。ウッディ・ハレルソン。エリザベス・ハーレー。デニス・ホッパー。
ぱっとしないケーブルテレビ局が起死回生の企画。それは普通の人間の生活をリアルタイムで放送すること。選ばれたのは30歳を過ぎてもうだつのあがらないビデオ店員のエド。最初こそ受けなかったが次第に人間模様が絡み合って視聴者は中毒症状に。だが、有名になったもののプライバシーはなくなった。そこで男が番組をうち切るために取る最後の作戦は。
テレビが24時間監視する映画といえば「トゥルーマン・ショー」。あちらは、何も知らされなかったのに対し、こちらは契約です。ですから、最後はどうやって契約違反にならないで円満に終われるかです。作り事と知っていながら、結構リアルに見えてきます。やはり現代はテレビ社会ということでしょうか。カメラが入ると人間は変わるようですね。マシュー・マコノヒー、「評決のとき」と全く違ったイメージでした。
*118<331>「クール・ドライ・プレイス」
ジョン・N・スミス監督。ヴィンス・ボーン。ジョーイ・ローレン・アダムズ。モニカ・ポッター。
子育てを巡る男のドラマかあ。ある日突然、奥さんは妹のところに行ってしまいそのまま帰ってこなくなった。敏腕弁護士はやむなく一人っ子を連れて仕事と子育てに。だが、仕事はクビになり、平和な田舎の法律事務所に都落ち。可愛いバツイチ女性との恋が芽生えたと思ったら、子供恋しさの別居妻が戻ってきて一悶着。さあ、どうしょう。
結果は当然の方向に進むのですが。元妻に「愛していなかった」なんていわれたらショックだな。それにしても、子供のために生きる男って、別にカッコよくないぜ。だから、オレにはあまり共感が沸かなかったのだ。
ジョーイ・ローレン・アダムズは「ビッグ・ダディ」に引き続き活躍。モニカ・ポッターはなんか寂しい役で、今ひとつかな。
*119<332>「シーズ・オール・ザット」
ロバート・イスコーブ監督。フレディ・プリンツJr。レイチェル・リー・クック。マシュー・リラード。
青春映画です。学園映画です。
最もイケテナイ女の子を恋に破れたイケテル男が賭けで学園の女王にしようとするが。プロムっていう卒業パーティーってのはアメリカでは大変なのだなあ。
それはともかく、今回の映画の注目度一番はレイチェル・リー・クックちゃん。小柄で日本人好みのカワイコちゃん。彼女がださいアート娘から、プリティ・ウーマンになるかどうか。確かにいいかもしんない。
キーラン・カルキンら「マイ・フレンド・メモリー」組も大活躍。もっとひねりが欲しいところだが、青春映画としては合格点か。
*120<333>「M:I-2」
ジョン・ウー監督。トム・クルーズ。ダグレイ・スコット。サンディ・ニュートン。
ご存じ「スパイ大作戦」シリーズ。ブライアン・デ・パルマ監督から、2丁拳銃のジョン・ウー監督にバトンタッチ。
腕利きのスパイ、イーサン・ハントの使命は金のために細菌兵器と治療薬を奪った元スパイとの戦いだ。そこにナイアという女盗賊が絡む。彼女は元スパイの恋人だったが、ハントも恋してしまう。
おやメロドラマ・アクションだわな。もっとも、後半に入り、思う存分のアクションが炸裂する。カー(バイク)チェイスあり、銃撃戦あり、カンフーあり。冒頭のロッククライミングもカッコイイです。でもスパイ映画より二役ありの恋愛物語。惚れた女にゃ、命懸け、ね。当然。
*121<334>「レインデア・ゲーム」
ジョン・フランケンハイマー監督。ベン・アフレック。シャーリーズ・セロン。ゲイリー・シニーズ。
どんでん返し、いっぱい。刑務所で女性と文通していた相棒が出所直前に刺殺されてしまった。そこで、相棒になりすまして女性と接触したのはいいが、カジノ強盗の手引きを頼まれてしまう。断ると命があぶない。そこで、必死のサバイバル騙し合いが始まる。
ベン・アフレック。この人は知性的なのかアホなのか。そしてシャーリーズ・セロン。どうもワシはアシュレイ・ジャッドと見分けが着かない。ちょっと、かわいいのか憎いのか、わかりにくい役だ。なんか、私には面白みがないままだった。
*122<335>「人狼」
沖浦啓之監督。押井守原作そして脚本。
懐かしくも哀しいポリティカル・ラブ・アニメである。
戦後間もない昭和30年代の風景。といって、東京であるが。そのトリヴィアルな部分への拘りがとても郷愁を誘う。雨に濡れる電車、はしけの浮かぶ川面、古い木造の家々。川面を飛ぶ鳥に僕らは心を奪われるだろう。
そして60年安保闘争と70年代市街戦を彷彿させる大衆武闘。とびかうモロトフ・カクテル、ガス弾、投石、爆弾。決してそれは遠い日の物語ではない。
だが、なによりも報われない非情の愛こそがメーンテーマである。首都警察の特別部隊に属す人間の皮を被った狼たる男・伏一貫。セクトの平坦部隊たる赤ずきんのメンバーでありながら公安警察に操られる雨宮圭。2人に一瞬、対幻想が芽生えるが、それは政治の論理と組織の暴力の前に崩れ去る。
新宿のテアトルは炎暑で地下までも熱気に満ちていた。これをオタクの目で見るか、政治の目で見るか、ラブストーリーとして見るか。満員の観客は混沌としている。
「君よ、外に出て歩道を割れば、昭和が露出するぜ」
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