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北海道文学を中心にした文学についての研究や批評、コラム、資料及び各種雑録を掲載しています

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シネマミーハーらくがき帳 1999〜2003
 なんというか、映画に嵌まっていた頃があり、雑文を書きまくっていた。

 シネマ・グラフィティ・ノート 2001年 その6  

*81<455>「エボリューション」
アイバン・ライトマン監督。デビッド・ドゥカブニー。ジュリアン・ムーア。オーランド・ジョーンズ。
 アリゾナの田舎にある日突然、宇宙からの隕石が落ちてくる。そこには地球の生物の進化を1カ月で成し遂げてしまうような謎の生命体が付着していた。
 人類危うし! 立ち上がるのは「ケイン熱」を起こす薬を作って政府機関を首になった教師とその相棒。そこに頭の固い軍人やら、恋心を抱く女性科学者やら、消防士志望のぶっ飛び青年が登場。てんやわんやの大騒ぎで大団円を迎える。
 もちろんスリルとサスペンスよりは、お下劣ギャグやらコミカルCGシーンのほうが多い。監督は「ゴーストバスターズ」で一世を風靡した。でも、なんだろうね、この作品の狙いは。

*82<456>「ソードフィッシュ」
ドミニク・セナ監督。ジョン・トラボルタ。ヒュー・ジャクマン。ハル・ベリー。
 気持ちのよい悪党映画。トラボルタ扮する謎の組織のリーダー「ガブリエル」が思うように暴れまくる。仲間に引き入れられるのは離婚した妻に娘を取られ、不遇の天才ハッカー。スタイル抜群の黒人の悩殺美人がやってきて、その魅力と金にグラリとしてしまう。
 彼らはハッカーの技術を使い、政府の秘匿している95億ドルの巨大預金をネットワークに入り込み奪取しようとしている。それを阻止しようとするFBI、そして謎の組織の一員の上院議員との息詰まる戦いが続く。
 冒頭からトラボルタが映画論をぶって、完璧な犯罪の映画を賛美する。つまり掴みはOK。しかも、360度回転で壮絶な爆発シーンを見せつける。CIAの作った秘密組織がテロ集団となるのも面白い。 

*83<457>「冷静と情熱のあいだ」
中江功監督。竹野内豊。ケリー・チャン。ユースケ・サンタマリア。篠原涼子。椎名桔平。
 江国香織・辻仁成原作。
 10年を超える男と女の純愛と別離と約束。その約束を果たすことはできるか。奇跡は起こるか。はい、起こります。そしてハッピーエンドとなります。めでたし。
 いい男といいおんなの恋愛だけじゃつまらない。大丈夫。歴史と伝統の美術の国イタリア。ミラノ・フィレンツェが舞台です。これから観光するには絶好のガイドブックになります。これって典型的な(表層的な)女性のための映画です。純愛は好きです。でもね、結ばれていながら心が離れているのはねえ。しかも、内容の割には長いぞ。しいていえば竹野内豊。悪くないぞ。

*84<458>「スカーレット・ディーパ」
アーシア・アルジェント監督・脚本・主演。ジーン・シェパード。ヴェラ・ジェンマ。
 アーシアの父親はかの「サスペリア」のダリオ・アルジェント監督。彼女は父親の作品「トラウマ/鮮血の叫び」にも出演していたとか。
 「スカーレット・ディーパ(緋色の女神)」と呼ばれるイタリア女優アンナ。だがオモチャ同然の女優の姿にアンナは孤独に苛まされている。セックスとドラッグと放浪の日々。そんな中でオーストラリアのミュージシャンカークと出会う。妊娠が彼女に希望をもたらすが、彼には家族があった。それでも−−。
 監督はまだ25才とか。そのせいか物語性よりも詩的イメージが強い。

*85<459>「ムーラン・ルージュ」
バズ・ラーマン監督・脚本。ニコール・キッドマン。ユアン・マクレガー。ジョン・レグイザモ。
 1899年、花の都パリのムーラン・ルージュ。そこに流れ着いてきた青年クリスチャンとスターのサティーンのラブストーリー。監督はレオ様の「ロミオ&ジュリエット」でメガホンを取った。
 今回もミュージカルらしくマドンナやらビートルズやらがにぎやかに登場する。しかし、舞台は世紀末のパリをさらに濃厚にした画像が素晴らしい。ムーラン・ルージュを描いていた「葡萄酒色の人生 ロートレック」というのをちょっと思い出しました。
 偽善や名声よりも、真実と自由を愛するボヘミアンの心が高らかに歌い上げられる。ニコール・キッドマンは結核で倒れるのですが、そうは思えないほど豊満な体です。ユアン・マクレガーは普通レベルか。ジョン・レグイザモがロートレック役で、なんとも印象的な怪演をしています。「サマー・オブ・サム」ぐらしか見ていませんが。いいですね。
 これをうるさい映画と見るか、見事なドラマツルギーと見るかは大いに分かれるところか。 ちなみに私にはいささかうるさく濃すぎる映画でした。

*86<460>「赤い橋の下のぬるい水」
今村昌平監督。役所広司。清水美砂。倍賞美津子。北村和夫。不破万作。
 会社がポシャリ、ホームレスとつきあい始めた男。ある日、哲学者然とした老人から宝物の話を聞かされる。それを探しに能登半島の付け根の港町へ。赤い橋のたもとの和菓子屋を訪ねる。異能の持ち主の老女、そして赤い服が美しい女が住んでいた。
 女は男が欲しくなると体に「ぬるい水」がたまるという。そのストレスを晴らすために万引きを繰り返している。橋の上で出会い、その現場を目撃した男は女に接近する。たちまち肉体関係を持つようになり、女は癒され男も常識の人生から抜け出す。
 「うなぎ」のトリオが挑んだ性的人間の根底にある生きる力の賛歌。原作は辺見庸。噴水女の話は暗喩だろうが、全体が単調でエロスのパワーはやや低い。

*87<461>「ポワゾン」
マイケル・クリストファー監督・脚本。アントニオ・バンデラス。アンジェリーナ・ジョリー。
 R18です。ということは濃厚なセックス・シーンがいっぱいということですね。別に期待なんかしていませんが、これが食傷なんだなあ。なにせ男くさいバンデラスと女も驚くジョリーですから。
 新聞の3行広告から文通同士、見も知らぬ2人が結婚することに。ところが、出てきた女は全くの別人。でもボイン(死語)で美人。男はすっかりクラクラ。それを知ってか知らずか女は銀行預金を勝手におろしてトンズラ。さて毒を食らえば皿まで。障害が続くが最後はめでたしめでたし。
 とにかく2人の濃いアップに疲れる映画です。原題は「Original Sin」。罪ですなあ。

*88<462>「かあちゃん」
市川崑監督。岸恵子。原田龍二。うじきつよし。勝野雅奈恵。小沢昭一。
 江戸は天保年間。経済困窮で人心の乱れている市井にけなげに生きるひとがいた。山本周五郎の原作を和田夏十が脚本化して温めていたのを市川崑が映画化した。
 かあちゃんと大工の息子3人と娘と末っ子の5人の子供。彼らは長屋づきあいもあまりせず、稼ぐばかり。吝嗇と罵られながらも、かあちゃんたちはふとしたことから牢に入ってしまった。大工夫婦の生活費を準備してやっていたのだった。そこに、盗みに紛れ込んだ若い男が見る人情の世界。
 まるっきりの善人のようなかあちゃんだが、誰にでも優しくするわけではない。耳に黒子のある男だから、なんてのは愛嬌のあるオチか。いかにもすぎるタイトルであったが、とてもよくできていて楽しめました。

*89<463>「光の雨」
 高橋伴明監督。萩原聖人。大杉漣。裕木奈江。川越美和。塩見三省。山本太郎。
 立松和平の原作による連合赤軍事件の映画化。物語は立松の原作を全共闘世代の監督が映画化する。
 それを若い世代の監督が役者たちの表情を追いながらメイキングするというスタイル。
 これによって歴史の彼方にある連合赤軍事件が自分たちの物語として捉え返されることになる。
 大杉漣は世代の今を好演している。
 山本太郎=森恒夫、裕木奈江=永田洋子をはじめ、若い役者たちも頑張っている。
 とりわけ「時間ですよ」のかわい子ちゃんの印象しかなかった川越美和が体当たりで、いい表情を見せる。
 映画への感想だが、それにしてもカルト集団のむごたらしさが伝わってくる。
 場を閉鎖してはだめだ、いかに開いていくかという視点がないことの悲劇を感じる。
 彼らが運動の極左化の象徴であったとしても、別の可能性があったことを忘れてはなるまい。
 福島泰樹、高橋公ら早稲田組がバックアップしている。

*90<464>「シュレック」
アンドリュー・アダムソン&ヴィッキー・ジェンソン監督。声・マイク・マイヤーズ、エディ・マーフィ、キャメロン・ディアス、ジョン・リスゴー。
 ドリームワークス版の「美女と野獣」パロディアニメ。
 緑色の大男シュレック。ひょんなことからおとぎ話のモデルたちの住み家を確保するため、お城に乗り込むことに。お伴はおしゃべりロバのドンキー。そして交換条件としてお城の支配者の結婚相手を助け出すために火を噴くドラゴンの塔へ。無事助けたお姫様フィオナに恋したシュレック。さてどうなるー。
 まあ主人公がここまで醜いのも珍しい。こともないか。でもアニメではね。そしてヒロインは美しいけれど重大な欠陥があるのも。人間は姿じゃなく中身だよ、でもね、という物語。
 声優は一癖も二癖もある役者が演じている。若干の差別的な作品の印象を持ったのはこちらがナーバスなせいか。エディのロバが結構笑えました。

*91<465>「犬夜叉 時代を越える想い」
高橋留美子原作。篠原俊哉監督。声・山口勝平、雪乃五月。
 神社の娘・日暮かごめ。彼女は古井戸からタイムリップしできる。戦国時代、御神木に封印されていた犬夜叉と出会い、助ける。犬夜叉は人間と妖怪との間に生まれた半妖。かごめと犬夜叉は野望を叶えるという「四魂の玉」のかけらを探している。だが、その犬夜叉の持つ妖刀・鉄砕牙(てっさいが)を狙い、妖怪・瑪瑙丸が襲う。瑪瑙丸の妖力で、かごめや仲間たちも操られ危機が迫る。
 二人は瑪瑙丸に勝つことができるのか。セーラー服の女の子とちょっとはずれた少年の恋。留美子ワールドの魅力がいっぱい。

*92<466>「バニラ・スカイ」
キャメロン・クロウ監督。トム・クルーズ。ペネロペ・クルス。キャメロン・ディアス。
 自分が見ている現実が実は夢だとしたら? それも潜在意識に操られている悪夢だとしたら。ニューヨークの青年実業家はセックス・フレンドの女性がいる。だが、誕生日のパーティーで出会った女性と恋に落ちた瞬間から恐怖が始まる。
 元の彼女につきまとわれ、自動車事故に巻き込まれる。そして彼女は死に、本人は顔をめちゃくちゃにされてしまう。彼はしばしば悪夢に悩まされ、現実との境が分からないほどに。最後に、彼は自分が何者か知らされる。なんとも回りくどい近未来映画である。
 オリジナルはスペイン映画の「オープン・ユア・アイズ」だそう。(見ていない)隣にいた観客の女性たちが「トム・クルーズじゃなかったら見なかった」と言っていた。なぜか肯いてしまった自分であった。
 
*93<467>「スパイ・ゲーム」
トニー・スコット監督。ロバート・レッドフォード。ブラッド・ピット。キャサリン・マコーマック。
 そうか「リバー・ランズ・スルー・イット」かあ。ブラピの主演で、レッドフォードが監督だった。その二人が共演し、先達が若者を調教しているわけだ。
 中国の刑務所で囚人を救い出そうとして元CIAのトムが逮捕される。その連絡がかつての上司のミュアーに秘密裏に届く。CIA本部ではトムを見殺しにする方針を決める一方で、ミュアーから聴取を行う。
 75年のベトナムからベルリン、ベイルートでの2人の行動が明らかになる。ミュアーはその日が定年の日だった。彼はCIA中央を手玉に取りつつトム救出の24時間作戦を進める。昔の出来事を語りつつ、現在の工作を進めるのだが、なんだかピントがはっきりとしない。CIAがいかに非合法のテロリストかを知らせてはくれるが。

*94<468>「ハリー・ポッターと賢者の石」
クリス・コロンバス監督。ダニエル・ラドクリフ。エマ・ワトソン。ルパート・グリント。
 J・K・ローリング原作の世界的ベストセラーの映画化。
 階段下の部屋でいじめられて暮らしているハリー。11歳の誕生日に、彼のもとに手紙が届き、自分が偉大な魔法使いの子供であると知る。ホグワーツの魔法学校に入った彼は、両親を死に追いやった邪悪な魔法使いの存在と戦うことになる。ハリーを支えるのは寄宿舎の仲間たち、そして優れた師たちだ。
 いかにも子供たちの大好きなファンタジー。そこには謎もあれば、大冒険もある。なにしろ空を飛べるのだから。とりあえず面白かった。それ以上のことはよくわからない。

*95<469>「バンディッツ」
バリー・レビンソン監督。ブルース・ウィリス。ケイト・ブランシェット。ビリー・ボブ・ソーントン。
 刑務所をひょんなことから脱獄したジョーとテリー。ホテル経営を夢見て2人は銀行強盗に。だけど人はあやめず、事前に支店長宅にお泊まりしての人質確保の頭脳作戦。使い走りにはスタントマン志望の青年が入る。そこに満たされぬ結婚生活にキレたケイトが加わって。三角関係がもつれて、2人の運命は?
 痛快クライム・ストーリーというところか。ハッピーエンドもまずまずのひねりでした。でも、この映画の一番の見せ場は3人の変装ぶりですか。とりわけ、おつむが寂しくなっているはずのブルース・ウィリスが長髪というのはいつもながら笑える。

*96<470>「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」
金子修介監督。新山千春。宇崎竜童。天本英世。村井国夫。
 ゴジラが突然、日本を襲い始める。戦争を忘れた日本人への怒りに燃えて。これを阻むにはどうするか。人間の力だけではだめだ。
 古来封じ込められた護国三聖獣を蘇らせるしかない。すなわち地の神・パラゴン、海の神・モスラ、天の神・キングギドラ再生である。その預言を知るレポーターの女の子、それに現代の防人として生きる父が戦う。
 ここで示されるのはコラボレーションへの信頼である。これに対して悪役ゴジラは戦争犠牲者の怨念を抱えながらも孤独な分だけ不利だ。コラボレーションが余り過剰な人情になるのはいただけないが、全体に金子監督の演出は快調。ゴジラの怒りをもっと荒ぶる神のレベルにまで挙げて、すべてを破壊せよ、というのは小生の妄想だった。

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