見逃しミーハーシネマ館 1999〜2003
なんというか、映画に嵌まっていた頃に、ビデオも借りまくっていた。
ビデオ・グラフィティ・ノート 1999−7 97~116
*<97>「アビス 完全版」
ジェームズ・キャメロン監督。エド・ハリス。メアリー・エリザベス・マストラントニオ。マイケル・ビーン。
1989年米国。93年にJ・キャメロン監督によって大津波のシーンをクライマックスとする完全版が編集された。
深海で座礁した原子力潜水艦を調べるために調査隊が派遣された。だが、軍人たちの勝手な行動で核ミサイルが破壊されようとする。暗闇だけのはずの深海には、人間の知らない世界が広がっていた。
SFXを駆使し、最終場面は「未知との遭遇」をも思い起こさせる。人間の小ささを感じさせられる。
*<98>「灰とダイヤモンド」
アンジェイ・ワイダ監督。ズビグニェフ・チブルスキー。エヴァ・クジジェフスカ、バクラフ・ザストルジンスキー。
1958年ポーランド映画。
マチェクはワルシャワ蜂起の生き残りで、今は反ソビエトのテロリストだ。彼は労働者党の書記シチュカ暗殺を命じられるが、誤って別人2人を殺してしまう。シチュカは優れた人物で、息子は反乱者として取り調べを受けていた。マチェクはホテルで蜂起で家族を失ったクリスティナと出会う。ベットをともにし、ひととき恋の時も過ぎ去る。
自分の選択が正しいのかどうかはわからない。関係の絶対性があるだけだ。マチェクは息子に会いに行こうとするシチュカを襲い、暗殺に成功する。翌朝、旅立とうとするマチェクは衛兵に発見され、撃たれ、廃墟のようなゴミ捨て場で死んでいく。
マチェクは蜂起の時、長く地下水道にいたため、いつも黒メガネをかけている。彼は自由のために、死ぬことを考えている。友もなく想い出さえも道連れにできない。
「灰の底にさんさんたるダイヤモンドの残ること」を決意して戦う男。時代に翻弄される人間を描いた傑作だ。
*<99>「シーズ・ソー・ラヴリー」
ニック・カサベテス監督。ショーン・ペン。ロビン・ライト・ペン。ジョン・トラボルタ。
1997年米仏。
故ジョン・カサベテスの脚本を息子のニックが映画化。
底辺に生きる熱烈夫婦をペン夫妻が演じきる。エディとモーリーン。モーリーンが妊娠中にエディは事件を起こし精神病院に。10年を3ヶ月と思っている。その間にモーリーンは再婚してしまった。再会の時、2人の愛は? なんか情熱系だなあ。ちょっと怖い。やはり弱虫のオレは引いてしまう。
*<100>「地下水道」
アンジェイ・ワイダ監督。タデウシュ・ヤンツァー。テレサ・イジェフスカ。エミール・カレヴィッチ。
1956年ポーランド映画。
ワルシャワ蜂起でドイツ軍に追い込まれるレジスタンスの姿。ある70人規模の中隊が壊滅していくまでをドキュメンタリータッチで。ドイツ軍との戦闘に敗れた部隊が最後に入っていくのが地下水道。そこはわき上がる腐臭ガスと泥水、そして迷路だった。その出口のない絶望感が鮮烈だ。ヤツェクとデイジーがひたすら「生きるんだ」と言いながら彷徨う姿が心に残る。
*<101>「AKIRA」
大友克洋原作・監督・脚本。
1988年日本。
絶対的エネルギー「AKIRA」の覚醒をめぐるサイバーウォーズ。金田と鉄男の友情を縦糸に、超能力実験を進める大佐、そして秘密組織の動きを横軸に物語を紡ぎあげていく。
なんども漫画で読み、映画でも見た。改めて見ると、この漫画(アニメ)が渇望していた時代というものがわかる。だが、はっきり言おう。超能力なんてない。だれも覚醒してはいない。切実な自覚があるだけだ。と。
*<102>「マイ・スィート・シェフィールド」
サム・ミラー監督。ピート・ポスルスウェイト。レイチェル・グリフィス。
1998年英国。脚本は「フル・モンティ」のサイモン・ボーフォイ。
「わが町シェフィールド」への熱き思い。レイたちは鉄塔ペンキ屋。そこにオーストラリアから山登りのジェリーがやってくる。イギリスの根負いの労働者とさすらいの魂の出会いが物語を紡いでいく。決してハッピーエンドじゃないけれど、心にいつまでも熱いものが残る。
*<103>「フル・ブラント」
ブレット・マイケルズ監督。チャーリー・シーン。マーティン・シーン。マーク・ダカスコ。
シーン親子による麻薬コップの戦い。権力と悪徳警官とその手先を追いつめる。気持ちのいいアクションを期待したが、いささか貧弱という印象。チャーリー・シーン親子の人情ドラマ風で乗り切れない。しかも殺伐感が残る。見どころは最後のビル一棟爆破だけというのは情けない。
*<104>「フィフス・エレメント」
リュック・ベッソン監督。ブルース・ウィリス。ゲイリー・オールドマン。ミラ・ジョヴォヴィッチ。クリス・タッカー。
1997年米仏。
23世紀の地球を舞台に地球を救う戦い。火、水、風、土とともに5番目の要素とは。タクシードライバー・コーベンと美少女・リールー。実はこの作品は98年4月4日に見ている。いうまでもなく「ジャンヌ・ダルク」を見て、ミラ・ジョヴォヴィッチを改めて思い出してみようというわけだ。
いやあ面白いわい。クリス・タッカーのうるささもなつかしいし、ゲイリー・オールドマンは相変わらずキレるし。ジャン・レノの代わりにブルース・ウィリスが暴れてみせる。迫力とユーモアがあって、楽しい映画だ。さすが、リュック・ベッソン。そんなふうに「ジャンヌ・ダルク」も見直せるだろうか。
*<105>「Uターン」
オリバー・ストーン監督。ショーン・ペン。ジェニファー・ロペス。クレア・デインズ。ホアキン・フェニックス。ジョン・ボイト。
1997年米国。
アリゾナの蟻地獄のような砂漠の町にまぎれこんだショーン・ペン。
その町はみんなちょっとヘン。だから、次から次と悪いことが伝染してしまう。車の故障から銀行強盗から、不倫まで。ありゃこりゃ、というへんてこな話の連鎖反応。
ジェニファー・ロペスのワナに落ちた男たちの運命は? いつもながらオリバー・ストーン監督はうまいのか下手なのかわからない。
*<106>「真実の行方」
グレゴリー・ホブリット監督。リチャード・ギア。ローラ・リニー。エドワード・ノートン。アルフレ・ウッダード。
1996年米国。
野心的な弁護士が名声を得るために手がけた裁判をきっかけに罠にはまる。冬のシカゴで大司教がメッタ刺しで殺された。犯人は19歳の青年アーロン。弁護士マーチンは青年の途切れた記憶を辿り真実を明かそうとするが。複雑に絡む有力者とマフィア。そして多重人格症。もっとも途中からネタばれ状態ではある。で、案の定の結末は興ざめでもある。エドワード・ノートンは2重人格派のようである。
*<107>「許されざる者」
クリント・イーストウッド監督・主演。ジーン・ハックマン。モーガン・フリーマン。リチャード・ハリス。
1992年米国。
19世紀のワイオミング。かつては殺人鬼と恐れられたウィリアム・マニーの今は農民として暮らしている。そこに若いキッドが娼婦を切り裂いた男たちの賞金首の話を持ってくる。一度は捨てた拳銃だが、生活苦から彼は再び町へ向かう。しかし、町では鬼保安官ビルが賞金稼ぎを懲らしめ、銃を取り上げていた。娼婦たちの助けで賞金首を追いつめるが。
重い。人間の暴力の重さがずっしりと伝わる。人を殺すのは、人間の過去も未来も奪うことだ。 その言葉が最後まで響く。
*<108>「ウィッシュマスター」
ロバート・カーツマン監督。タミー・ローレン。アンドリュー・ディボフ。
1997年米国。
アラジンの魔法のランプの逆バージョンです。ひょんなことから「悪魔」が蘇って人間を支配しようとする。そのためには3つの願いを叶えさせること。人間と悪魔の知恵比べ。
楽しく見られます。まあ、ちょっとしたアイデアの勝利ってやつか。
*<109>「トワイライト」
ロバート・ベントン監督。ポール・ニューマン。ジーン・ハックマン。スーザン・サランドン。
探偵と映画俳優夫婦の奇妙な友情物語。女優には20年前に前夫が失踪し、その後に俳優と再婚した事実があった。隠された秘密を追って、動き始めると、殺人事件が相次ぐのだった。
3大スターの顔合わせで、じっくりと見せるが、やはりスーザン・サランドンか。やや緩んだポール・ニューマン、重い病気役のジーン・ハックマン。ひとりサランドンだけが光っている。悪女が全てを動かしてしまう。
*<110>「レッサー・エヴィル」
デヴィッド・マッケイ監督。コーム・フェオーレ。トニー・ゴールドウィン。アリス・ハワード。デヴィッド・ペイマー。
1998年米国。
悪ガキ4人組が22年前に起こした小さな犯罪の行方を問うサスペンス。ひょんなことから拳銃で車の人間を撃ってしまった。そこには50万ドルがあった。さて。過去と現在の心の揺れが巧妙に描かれる。小品だが、良くできている。
*<111>「(ハル)」
森田芳光監督。深津絵里。内野聖陽。戸田菜穂。
1996年日本。
パソコン通信が生み出す現代の純愛物語。(ハル)と「ほし」というハンドルネームを持つ2人がパソ通の映画フォーラムでメールフレンドになる。お互いの気持ちを虚実混ぜながら書き合っているうちに普通の対面関係では生まれないほのかな思いが。
デジタル化された記号が現実を超えるリアリティーがよく描かれている。ハイパーリアルが再びリアルに回収されていくのはやむを得ない。でも、傑作だ。深津絵里もいい。古風な現代性が表出されている。
*<112>「ポンヌフの恋人」
レオス・カラックス監督。ジュリエット・ビノシュ。ドニ・ラヴァン。
1991年フランス。
パリのセーヌ川にかかる橋・ポンヌフに暮らす浮浪者のアレックス。ある日、そのねぐらに目の悪い画学生のミシェルが紛れ込む。かつての恋人ジュリアンを忘れられないミシェルだが、次第に2人は心を通わせ始める。だが、ミシェルの両親はポスターを貼り彼女を探し出そうとした。
「Pola x」という問題作品を発表したカラックスの前作だ。映像の虚仮威しぶりが凄い。そして堕ちる感覚に焦がれているのが判る。メルヘンである。
*<113>「スポーン」
マーク・デッペ監督。マイケル・J・ホワイト。ジョン・レグザイモ。マーチン・シーン。
1997年米国。
アメリカン・コミックのヒーローの映画化。
陰謀によって悪魔の手先にされかかった男が自らの超能力を自覚。残され家族を守るために戦う。CGが素晴らしい。でも、漫画ですか。日本のアニメほど内面的でないから、いささか飽きます。
*<114>「四月物語」
岩井俊二監督。松たか子。田辺誠一。加藤和彦。江口洋介。
1998年日本。
旭川から武蔵野の大学に進学した女の子の戸惑いながらの初々しい出発の日々を詩情豊かに描く。特段の物語というほどのことはなく、小さなエピソードが積み重なる。
若い日々とはいいものだ。そんな感じを、松たか子は自然に演じている。いい。
*<115>「ゲット・ショーティ」
バリー・ソネンフェルド監督。ジョン・トラボルタ。ジーン・ハックマン。レネ・ルッソー。ダニー・デヴィート。
1995年米国。
映画オタッキーのチリ(トラボルタ)がプロデューサーのハリーと組んで映画を作るまで。ギャングが絡み、女優が絡み、映画の中に映画が絡み、キッチュでキュートな物語になっている。
*<116>「ワイルド・シングス」
ジョン・マクノートン監督。ケビン・ベーコン。マット・デイロン。ネブ・キャンベル。デニス・リチャーズ。ビル・マーレイ。
99年春のヒット作です。今回ビデオで見直しです。いやあ、うまくできていますね。犯罪者の入れ子状態が見事に決まっています。脚本がいいのかな。そしてネブ・キャンベルとデニス・リチャーズの2人がセクシーで。何回見ても飽きない楽しい映画です。
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