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北海道文学を中心にした文学についての研究や批評、コラム、資料及び各種雑録を掲載しています

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見逃しミーハーシネマ館  1999〜2003
 なんというか、映画に嵌まっていた頃に、ビデオも借りまくっていた。

 ビデオ・グラフィティ・ノート 2000-7   97~106  

*<97>「キッドナッパー」
グラハム・ギット監督。メルヴィル・プポー。エロディ・ブシェーズ。イザーク・シャリー。ロマン・デュリス。
 「ドーベルマン」(ヤン・クーネン監督)のスタッフが結集した作品との触れ込み。あの映画の凶暴さが、この映画にもあって面白い。
 男3人、女1人。マフィアの仕事で2000万フラン強奪をするはめに。だが、彼らが手に入れたのは「リトアニアの王子」だった。欲望と陰謀のハードボイルドが展開されていく。浮気者の女性クレール役のエロディ・ブシェーズ。「天使が見た夢」の彼女ですね。クールでいいねえ。その弟でスピード狂のゼロ役のロマン・デュリス。こちらは「ガッジョ・ディーロ」ですね。
 登場人物の性格をきっちりと分けて、それを役者がうまく演じている。でも、全体的には今ひとつ盛り上がらない。どこかで気取っている自意識が製作サイドに残っているためだろうか。

*<98>「ブルー・ストリーク」
レス・メイフィールド監督。マーティン・ローレンス。ルーク・ウィルソン。
 1999年米国。
 宝石泥棒が仲間の裏切りから、盗んだダイヤを隠して捕まった。刑務所から出ると、隠し場所のビルは警察署に変わっていた。そこで、刑事になりすましてダイヤ探しをするが、いつしか事件に巻き込まれ、昔とった杵柄。悪に詳しいのが幸いして、大活躍。
 さて、ピカレスクものほどじゃないが、楽しいギャング・コメディーというところか。でも、主役のマーティン・ローレンスがいかにも貧乏すぎてなあ。イマイチ軽すぎた。

*<99>「マークスの山」
崔洋一監督。中井貴一。名取裕子。萩原聖人。古尾谷雅人。小林稔侍。岸部一徳。萩原流行。
 1995年日本。
 ご存じ高村薫の傑作の映画化。
 学生運動の敗北過程で発生した内ゲバと殺人。心に負い目を持つ者たちの葛藤。精神を病む少年と母性たる看護婦との触れ合い。地をはうような刑事の捜査と軋轢。なんだか気が滅入ってしまいます。暴力の快感みたいのがズシンと響いて、一転不快に変わります。
 大杉漣や寺島進らがはつらつと暴力振るっています。たけし映画のようにならないのは良かったのか悪かったのか。

*<100>「ニルヴァーナ」
ガブリエレ・サルヴァトレス監督。クリストファー・ランバート。エマニュエル・セイナー。
 1996年イタリア・フランス合作。
 ゲームプログラマーのジミーは心理ゲームの「ニルヴァーナ」を作成していた。しかし愛するリザに去られ、彼の心はブルー。そんな時、ウィルスが侵入したためゲームの主人公ソロが自我を持ってしまった。ソロは閉塞された世界に傷つき、存在を消してくれと言う。そこでジミーはオコサマ・スター社のホストに侵入、ゲームを消去しようとする。
 これは、まあよくある発想です。ゲームとは実は現実がゲームであることを隠蔽するために作られた装置です。これって、ボードリヤールの借用ですが。閉塞的なのはゲームの世界だけじゃなく、人間世界かもしれない。このちょっと歯の浮きそうなテーマをそれなりに見せてしまうのは作者の力量か。しかも、ニルヴァーナという真の寂滅をテーマにした時点で成功でした。日本おちょくりのスシやらゾニーやゼガやらのネタも笑えました。

*<101>「大阪極道戦争2 白いエクスタシー」
細野辰興監督。役所広司。早乙女愛。渡辺政行。本田博太郎。
 1996年日本。
 「シャブ極道」というタイトルの作品だったはずです。ちょっとヤバイものね。なんとも滅茶苦茶で、役所広司が目立ちまくっています。ちょっと恥ずかしい。映画としては、このレベルは論評しずらいですね。このテンションの高さは普段のまじめな映画に疲れている鬱憤ばらしか。

*<102>「フォー・ルームス」
クエンティン・タランティーノ監督ほか。ティム・ロス。マドンナ。ブルース・ウィリス。ジェニファー・ビールス。
 1995年米国。
 インディーズ系の監督4人によるオムニバス映画。ホテルのベル・ボーイを主人公に大晦日の夜に遭遇する災難。もっとも主役のティム・ロスはすっかりたのしんでやっているのでハッピーなのか。一番は「お客様は魔女」か。マドンナはじめきれいどころが石になった魔女復活の儀式をやる。でも一つ足りないものが。笑えます。

*<103>「サラリーマン金太郎」
三池崇史監督。高橋克典。羽田美智子。山崎努。津川雅彦。野際陽子。榎本加奈子。
 1999年日本。
 人気テレビドラマの映画化。
 建設会社に勤める熱血サラリーマン金太郎が談合巣くう公共工事受注に全力投球。その人間性の魅力で周囲に旋風を巻き起こす。まあ、パターンものです。でも、展開ははちゃめちゃです。

*<104>「π」
ダーレン・アロノフスキー監督・脚本。ショーン・ガレット。マーク・マーゴリス。ルイス・ソロモン。
 1997年米国。モノクロ。
 すべての事柄は数学で解析できると信じている男。「ユークリッド」と名付けたスーパーコンピュータで数字の秘密を解析したとき。男の内部に変化が起きる。まあ、神を見るとでもいうのでしょうか。でも、こういう内部体験と数学的意匠は、胡散臭い。とオレの感性は訴えている。

*<105>「タービュランス2」
デビッド・マッケイ監督。クレイグ・シェイファー。ジェニファー・ビールス。トム・ベレンジャー。ジェフリー・ノードリング。
 ローレン・ホリー主演の「乱気流」っていうスチュワーデス大活躍映画の続編というふれこみ。
 監督は「レッサー・エヴィル」でシャープな映像を見せていますね。
 トランスコン・エアー110便。飛行機恐怖症克服プログラムの訓練生らが乗っていた。乱気流の中を飛行中に突如、事件発生。乗客の刺殺体。悪徳諜報員。神経ガス爆弾。ハイジャック。撃墜ミサイル。荒天下の手動着陸。誘拐。次から次のハラハラドキドキ。
 とりあえず、ポイントをしっかり押さえ楽しめます。もう少しいろんな毒をちりばめると、もっと笑えたのですが。

*<106>「リーサル・ウェポン3」
リチャード・ドナー製作・監督。メル・ギブソン。ダニー・グローヴァー。ジョー・ペシ。レネ・ルッソ。
 命知らずの底抜け脱線ハードボイルド刑事コンビ大活躍の人気シリーズ第3弾。
 今回は警察の銃器がギャングに流れていく事件を追う。そのコンビの間に入ってジョー・ペシが道化役で熱演。ド派手な銃撃戦、大爆発、カースタントとこちらももりだくさん。気分がイマイチの時には「タービュランス2」とセットで気分爽快に。

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