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北海道文学を中心にした文学についての研究や批評、コラム、資料及び各種雑録を掲載しています

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シネマミーハーらくがき帳 1999〜2003
 なんというか、映画に嵌まっていた頃があり、雑文を書きまくっていた。

 シネマ・グラフィティ・ノート 2001年 その5  

*65<439>「釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇」
本木克英監督。西田敏行。三国連太郎。浅田美代子。宮沢りえ。
 今回は常務にまでなった男が自分の時間を大切に晴耕(釣)雨読の生活を願う。いわゆる「ハッピー・リタイアメント」にともなうドタバタ物語。
 で、その男は山口・萩が実家。そこには美しい姪がいて、若い医者がいて。出張の次いでに訪れたハマちゃん、スーさんを巻き込んで、にぎやかし。案の定、吉岡秀隆がいるし、マドンナは宮沢りえで、ゲストは青島だあ。
 全く、山田洋次映画はマンネリそのものだ。もっとも客の多くはそのマンネリを楽しみにしており、ここぞとばかりに笑う。仕方がない。テレビドラマと思えば。こちらも宮沢りえ見たさに劇場に行ったのだから。りえちゃんがんばれ。

*66<440>「大河の一滴」
神山征二郎監督。安田成美。三国連太郎。渡部篤郎。セルゲイ・ナカリャコフ。倍賞美津子。
 五木寛之原作・原案。新藤兼人脚本。
 にもかかわらず困った映画である。なにしろ今や選挙違反の巣窟と化した郵政局が特別協力している。特定郵便局長さんの苦労はわかるが、宴会の場面で思わず税金を使っていないだろうな、ってツッコミたくなるのだ。
 高祖なにがしという参議院議員は罪である。そして、安田成美扮する主人公が高ピーで自分勝手なのだ。渡部篤郎扮する幼なじみの男も「平凡がいい」「未熟だ」などアホなことばかり口走っている。三国の父さんもソ連軍の満州侵攻と戦争の問題を今頃思い出すなんてのも遅い。戦後の時間ってのは何だったんだろう。どこが大河の一滴なのか、わからん。不思議な映画だ。トランペットはよかったけど。

*67<441>「反則王」
キム・ジウン監督。ソン・ガンホ。チャン・ジニョン。パク・サンミョン。チョン・ウンイン。
 昼はしがない銀行員。うだつがあがらないため、副支店長に毎日ヘッドロック攻撃をかけられている。ある日、プロレスジムの前に立ち、決意する。そういえば、うるとら・タイガーマスクに憧れていた自分。反則王のプロレスラーこそ自分の生きる道だ。ジムの娘にほのかな恋をするが、銀行の美女には振られる。うだつがあがらない同士の友人は社会の悪に怒ってやめてしまう。だが、自分はリングに生きる。チンピラのガキどもをたたきのめし、スパースターといざ勝負。
 八百長なのに頑張ってしまうところがいい。まさにヘッドロック人生にバックドロップだ。で、人生変わったの? やっぱり副支店長は苦手だ。じゃんじゃん。
 主人公のソン・ガンホは「シュリ」で同僚刑事、「JSA」で北の兵士を好演。今回もフーテンの寅さんのような一人喜劇芝居に味を出しています。若干アイデア勝負の人生喜劇で薄いが、ともかく面白い。

*68<442>「FAINAL FANTASY」
坂口博信製作・監督。
 高名なゲームソフトの映画版というべきか。2065年の地球。隕石とともにやってきた「ファントム」の脅威にさらされている。彼らに生命を吸い取られる人間はバリアを作って暮らしている。度重なるファントムの侵食に軍人たちはゼウス砲で殲滅することを考えている。女科学者のアキはファントムを身体に抱えながら、かろうじて生きている。信頼の置ける科学者シドは8つの生命体を集めることで、困難を乗り越えられると信じている。彼らは地球は生命体であるというガイア理論の信奉者でもある。
 てなわけで、壮大なバトル・ファンタジーが繰り広げられる。とにかく精密なコンピュータ・グラフィックが売りである。物語のおもしろさはそれほどでもない。そして、感動は−−ない。ゲームソフトを映画にすればこうなるということがわかるだけだった。

*69<443>「ラッシュ・アワー2」
ブレット・ラトナー監督。ジャッキー・チェン。クリス・タッカー。チャン・ツィイー。
 おなじみの米中の口八丁手八丁の刑事コンビが大暴れ。今回は香港で爆弾テロ。米国人の税関職員2人が死んだ。休暇のつもりが一転、捜査の最前線に立つ羽目に。にせ札作りの香港マフィア、謎の美女ギャングなどが入り乱れる。
 ジャッキー&タッカーのコンビがノンストップで追いつ追われつ。マンネリはあるが、ジャッキーのアクションが楽しい。

*70<444>「ブリジッド・ジョーンズの日記」
シャロン・マグワイア監督。レニー・ゼルウィガー。ヒュー・グラント。コリン・ファース。
 英国の「インデペンデント」紙に掲載された人気コラムの映画化。原作はヘレン・フィールディング。
 ブリジッド・ジョーンズは30を過ぎたオバサンOL。理想の恋人を捜しているが、見つからず。ちょっとデブな体をダイエットしたい。ヘビーな酒もたばこもやめたい。そんな折、田舎で母親に見合い相手の弁護士を紹介され、会社ではちょっと二枚目の編集者の上司に迫られたり。時には絶望したり自暴自棄になりながらも、しっかり生き抜いていく。
 30代はオバサンだろうが、なんか青春してて元気がでる。レニー・ゼルウィガーは「ふたりの男とひとりの女」「母の眠り」ほかで好感度アップ中。

*71<445>「スコア」
フランク・オズ監督。ロバート・デ・ニーロ。エドワード・ノートン。マーロン・ブランド。
 「ゴッド・ファーザー」「タクシードライバー」「ファイトクラブ」の三人の豪華競演。
 プロの泥棒のデ・ニーロにブローカーのブランドが大きな話を持ってくる。モントリオールの税関倉庫にフランス王家の秘宝が保管されている。これをいただいて引退を考える。老後はジャズ・クラブの経営者が夢。相棒には若手の腕利きノートンが加わる。お互い不信を抱きながら、計画は進んでいく。
 最後に笑うのはだれか。そりゃ、一番頑張った人でしょう。デ・ニーロは光るが快感は今一つない。 

*72<446>「コレリ大尉のマンドリン」
ジョン・マッデン監督。ニコラス・ケイジ。ペネロペ・クルス。ジョン・ハート。
 第2次大戦下のギリシャ・ケファロニア島。イタリア軍が占領軍としてやってくる。しかし、コレリ大尉が率いるイタリア軍は戦争経験もほとんどないような連中。音楽を愛し、人を愛する陽気なラテン人たち。ドイツ軍と違う彼らに島の人たちも心を開いていく。
 コレリ大尉の寄宿先の娘ペラギアは彼の奏でるマンドリンと優しさに恋する。だが、彼女にはフィアンセがいた。フィアンセはパルチザンとして闘っているのだ。3人は戦争という苛酷な運命に翻弄されながらも、絆を深める。なんとも心を打つ戦争映画です。
 ニコラス・ケイジはいつになくしっとり。ペネロペ・クルスも知的でいて初々しい島娘を好演している。監督は「恋に落ちたシェイクスピア」でメガホンを撮っただけに、丁寧でうまい。ペネロペ・クルスは「オール・アバウト・マイ・マザー」で修道女を演じた。

*73<447>「陰陽師」
滝田洋二郎監督。野村萬斎。伊藤英明。今井絵理子。小泉今日子。真田広之。
 なぜかオカルトブームは続く。
 原作は夢枕獏。
 陰陽道に過剰な意味付与して陰陽師はいつのまにやら超能力者。そして、平安の世に最強の陰陽師と呼ばれた安倍晴明。彼はあるとき源博雅の訪問を受け、親交を深める。都には道尊という陰陽師がいたが、彼こそは平安京に恨みを秘めていた。帝の周辺で凄まじい超能力合戦が展開される。
 期待してみましたが、なんか真田広之の芝居ばかりが目立ちました。監督は薬師丸ひろこの「病院へ行こう」や広末涼子の「秘密」でメガホン。
 
*74<448>「トゥームレイダー」
サイモン・ウエスト監督。アンジェリーナ・ジョリー。ジョン・ボイト。イアン・グレン。
 世界的なヒット作のゲームソフトを元に作られたアクション・ムービー。
 女主人公ララ・クロフトは惑星直列の日に謎の時計を見つける。それは宇宙のパワーを操ることができる能力を手に入れるナビゲーターだった。だが、それを狙っていたのは悪の秘密組織のイルミナーティだった。ララの父親の失そうにも秘密組織が絡んでいるらしかった。スーパーレディと組織、そして神秘の力との冒険・闘いが繰り広げられる。
 にぎやかですが、内容はイマイチでどこかで見たシーンが目立ちます。アンジェリーナ・ジョリー。いい女ですが、顔も何もでかい。ちょっと親子競演も減点イメージです。
 
*75<449>「ビバ!ビバ!キューバ」
ヘラルド・チホーナ監督。タイス・バルデス。ウラジミール・クルス。サンティアゴ・アルフォンソ。
 最近人気のキューバ映画。「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」とか「サルサ!」。「ダンス・ウィズ・ミー」なんてのもありました。
 でも、これはなんというかダメですね。世の中、こんなに偶然が重ならないでしょうからねえ。父親も母親もいわく因縁ありで、娘と息子に因果が報いて。兄妹が結婚したらモンスターが生まれると大騒ぎですが、そこはご愛きょうの喜劇。死んだ人まで生き返って丸く収まります。
 キューバは混血の国だから−−ってのがオチでしょうか。驚いた。

*76<450>「ワイルド・スピード」
ロブ・コーエン監督。ヴィン・ディーゼル。ポール・ウォーカー。ミシェル・ロドリゲス。
 ロサンゼルスを舞台に初速から400メートルに勝負を賭け、路上のカーレースに命を燃やす若者たち。これに青春ドラマのテイストと犯罪(トラック・ジャック)をからめる。
 文句なしのB級映画ですが、ホンダやら日産、マツダなどの日本スポーツカーが本当に小気味よく走り回ります。仕掛けは大きいが無内容な空騒ぎだった「ドリヴン」よりも圧倒的な快感です。
 覆面デカの青年に好意を持つ女は「ガールファイト」のロドリゲスですね。悪くはないが、前作のほうが強烈でした。

*77<451>「スウィート・ノベンバー」
パット・オコーナー監督。キアヌ・リーブス。シャーリーズ・セロン。ジェイソン・アイザック。
 「2001年秋―今年、たった一本のラブ・ストーリー」だそうだ。しかし、そんなもんかい、というレベルの物語です。だって、難病ものってのはいけません。
 不幸な男を救うのが特技という女に一カ月限定の恋なんてできますか。そりゃ広告会社はクビになり恋人に逃げられれば、ぐらつきます。でも危険でしょ。やっぱり。こんな女性に囲われるなんて。
 シャーリーズ・セロンはいいですね。可愛いです。それが片頭痛からいきなり癌が悪化。いきなりげっそりするのは興醒めです。乱暴な脚本というべきか。「マイティ・ジョー」や「ノイズ」「サイダー・ハウス・ルール」もよかったですが秋色がお似合いで魅力的でした。

*78<452>「クローン」
ゲイリー・フレダー監督。ゲイリー・シニーズ。マデリーン・ストウ。ヴィンセント・ドノフリオ。
 フィリップ・K・ディックの「偽物」という短編の映画化。「ブレードランナー」「トータル・リコール」などの作者らしい物語。
 映画は2079年、惑星との戦争で地球はシェルターの下で暮らしている。敵は人間のクローンを作り、そのクローンに爆弾を内蔵させ要人を狙っている。主人公スペンサー・オーラムはある日、その人間爆弾の容疑で捕らえられる。だが、自分が人間であることを信じる彼は、特務機関の執拗な追求を振り切って逃げる。助けるのは地下のゲリラ組織。そして頼みの綱は妻のマヤだ。
 彼は真相を知るべく宇宙船の墜落した現場を訪れる。しかし、そこで彼が見たものは。
 二つの悲劇が彼を襲う。はらはらしますが、なんとも疲れる映画です。画面は暗いし、解放感もありません。たぶん小説のほうが遙かに面白いのでしょう。

*79<453>「GO」
行定勲監督。窪塚洋介。柴崎コウ。大竹しのぶ。山崎努。山本太郎。
 直木賞受賞の金城一紀原作の映画化。
 コリアン・ジャパニーズの青年と日本人少女の恋愛物語。もっとも繰り返し「在日」を巡る問いが投げかけられ、いささか辟易する。この執拗さはどうなんだろうか。もちろん登場人物たちはそれぞれ好演している。主人公役の窪塚洋介は颯爽とした風を巻き起こしている。それでも、今ひとつぴりっとしなかった。

*80<454>「タイガーランド」
ジョエル・シューマカー監督。コリン・ファレル。マシュー・デイビス。クリフトン・コリンズ・ジュニア。
 ひょんなことから飛び込んだ日比谷の映画館で見た。
 これが全く隙のない緊迫感と臨場感、そしてユーモアのあふれた戦争凝視映画だった。監督は「ドグマ95」に賛同しているらしく、目立つ特殊効果はなく、ドキュメンタリーのようなテンポの良さが光る。
 1971年。米国の青年たちはベトナム戦争に駆り出されようとしている。予備段階として送り込まれるのは米国の中のベトナム「タイガーランド」。しかし、反逆児のボズは訓練の中でも独自の抵抗を続ける。それは多くの青年を戦場に赴くことを阻止することであり、無意味な殺人をやめさせることだった。
 その彼が戦争の狂気を見抜き、正気を保っていながらも最後には運命を受け入れて戦場に旅立つところに<関係>の残酷さを感じる。
 戦争は人間の様々な悪を露出させる。同時に聖性もまた。この映画はベトナム戦争を描いているようで、現在の悲劇をも映し出している。

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