見逃しミーハーシネマ館 1999〜2003
なんというか、映画に嵌まっていた頃に、ビデオも借りまくっていた。
ビデオ・グラフィティ・ノート 2000-4 49~64
*<49>「トイ・ストーリー」
ジョン・ラセッター監督。声:トム・ハンクス。ティム・アレン。ドン・リックルズ。
1995年米国。
アンディにはカウボーイ人形のウッディがいた。そこに6歳の誕生祝いとして宇宙戦士バズ・ライトイヤーがやってきた。ウッディとバズはライバルになったが、ある日、家を離れてしまい冒険が始まった。立ちはだかるのは隣の意地悪小僧シド。CGによるアニメの草分け作品。ウッディとバズが親友になるまでを描く。3DCGが素晴らしく新鮮だ。
*<50>「キャリアーズ」
アラン・メツガー監督。ジュディス・ライト。フィリップ・ボスコ。ビル・ヌン。
アフリカ・ガボンとアメリカで謎の伝染病が猛威を振るい始めた。原因は猿にあるかと思われたが、大手の製薬会社と軍も絡んでいるらしかった。女性研究者は同僚とともに真相に迫ろうとする。鍵を握るのは2人の双子の女の子。だが、接触する彼女の周辺で不穏な動きも目立ち始める。
究極の生物兵器が何か。そこのところのアイデアは面白い。
*<51>「完全なる飼育」
和田勉監督。竹中直人。小島聖。渡辺えり子。北村一輝。泉谷しげる。ガッツ石松。佐藤慶。
1998年。脚本は新藤兼人。
ジョギング中の女子高校生を誘拐、監禁した中年男の物語。完全なる愛の形を求める男は少女を監禁するものの乱暴はせず、「飼育」する。そして、2人の心が通じ合ったら完全なるセックスを、が目標だ。
竹中と小島聖が熱演している。それにしても、このところいつもレンタル中で、やっと借りられた。世の中、人の考えることは同じらしい。こちらも実際にあった事件を題材にしているとか。
密室化すると、結局、人間関係は愛か憎しみのどちらかに振れる。この作品は愛が芽生えている。その流れが結構自然に説得力を持って描かれている。こうした愛はしかし、疑わしい。そうした世界に生きる人間をどこかバカとは言い切れないのだが。
*<52>「ショーシャンクの空に」
フランク・ダラボン監督。ティム・ロビンス。モーガン・フリーマン。ウィリアム・サドラー。
1994年米国。
銀行家のアンディは無実にも拘わらず妻殺しで無期刑の判決を受けた。送られたショーシャンク刑務所には長期受刑者たちが入所していた。その中で黒人の調達屋レッドと親しくなる。だが、男色を強いる者たちや利己的な刑務所長らが目を光らせていた。物静かなアンディは彼らに悩まされながらも、豊富な財務知識を生かす。そして周囲の信頼を次第に勝ち取っていくのであった。ある時、彼の無罪を証明してくれる青年が現れる。だが、青年は刑務所長によって殺害されてしまう。失望に打ちひしがれたアンディ。だが、ついに脱走を決意する−。
この映画に溢れているのは精神の自由は誰にも奪えないという信念である。そして、その心の中心には<希望>という言葉が刻まれている。アンディとレッドの2人の曇りのない精神力に感動させられる。
世の中はこんなにうまくいくはずがない。そう思いながらもしかし、決して諦めてはいけないのだという意志力を信じたくなる。こんなに気持ちが良くなる映画は、久しぶりだ。
*<53>「アナスタシア」
ドン・ブルース&ゲーリー・ゴールドマン監督。声:メグ・ライアン。ジョン・キューザック。
1997年米国。
ミュージカルアニメってところでしょうか。怪僧ラスプーチンの呪いによって滅ぼされたロマノフ王朝。その王女アナスタシアがかつての従僕の少年に見つけだされ、そして皇太后とパリで再会するまでを描く。敵役ラスプーチンの亡霊がまたしても彼女の冒険を阻む。
ロマンスはあるかもしれないが、歴史観やら本当の勇気や希望ってないな。そういう生ぬるさが残る。単純に主人公の容貌がタイプじゃなかっただけかもしれないけど。メグ・ライアン? そういわれてもなあ。
*<54>「コンゴ」
フランク・マーシャル監督。ディラン・ウォルシュ。ローラ・リニー。アーニー・ハドソン。
1995年米国。
中央アフリカでダイヤモンドを探している米国会社のチームが消息を絶った。社長の命令で元CIAの女性技術者が派遣された。一緒に行くのは幻の都を探しているルーマニア人。そして言葉を話せるゴリラのエイミーとその飼育係の学者だった。政情不安のザイールでは軍隊に追われ、探索地点ではソロモン王の<目>が見つめていた。
それなりに面白い冒険活劇です。でもね、やっぱり米国至上主義というか野蛮人を見る感覚があるんだな。結局、現地の人って言葉がわかる猿っていうか。どうも、そんな印象が残った。
*<55>「カットスロート・アイランド」
レニー・ハーリン監督。ジーナ・デイビス。マシュー・モディン。フランク・ランジェラ。モーリー・チェイキン。
1995年米国。
監督は「ダイ・ハード2」「クリフハンガー」をヒットさせた人。
スペイン船から奪った財宝の隠し場を探して海賊一族と悪い役人が争う。主演の女海賊にはジーナ・デイビスが扮して思いっきり暴れまくっている。海賊船同士の戦闘シーンなど見どころいっぱい。とにかくちょっぴりのお色気とノンストップ・アクション。
娯楽に徹したすかっとする映画でした。
*<56>「CURE」
黒沢清監督。役所広司。萩原聖人。うじきつよし。大杉蓮。
1997年作品。
胸にXと刻まれた連続殺人事件。その謎に刑事と精神科医が迫る。刑事には精神を病んでいる妻がおり、彼女の行動も捜査を悩ませる。そして精神科医はもちろん刑事自身も静かに狂い始める。
一種のサイコホラーだろうが、どうも面白くない。自分って何ってのは珍しくもない問いかけだ。それに精神の病や催眠術を結びつけるのがイヤだ。ちょっと疲れる。
*<57>「素顔のままで」
アンドリュー・バーグマン監督・脚本。デミ・ムーア。バート・レイノルズ。アーマンド・アサンテ。
1996年米国。
別れた夫の盗癖のためにFBIをクビにされ、一人娘の親権まで奪われたエリン。やむなくストリッパーとして働いて訴訟経費を捻出することに。しかし、変態下院議員が悪さをし始めたころから不可解な事件の影が忍び寄る。もっとも悪人はバレバレ。あとはお色気を楽しむ仕掛けです。
デミ・ムーアはこの映画で10数億円のギャラをとったとか。確かに体当たりの演技。吹き替えなしなら凄いです。成熟した女体の虜にされちゃうぞ。
*<58>「ザ・プレイヤー」
ロバート・アルトマン監督。ティム・ロビンス。グレタ・スカッキ。フレッド・ウォード。
1992年米国。
グリフィンは映画会社のエクゼクティブ。脚本家から話を聞いて作品に出来るかどうかを決める仕事をしている。その彼に「仕返ししてやる」との絵はがきの脅迫状が届く。そこで心当たりの売れない脚本家を捜して話をつけようとするが。話がもつれて、死なせてしまうはめに。警察と、終わらない脅迫、ライバルの出現でグリフィンは追いつめられながらも、死んだ男の恋人の「氷のクイーン」と、恋に落ちる。
冒頭の長回しのカメラがリベンジを感じさせる。「最近の映画はカットをつないでばかり」と批判してみせる。最後の電話まで、痛烈な映画業界批評である。
*<59>「ギルバート・グレイプ」
ラッセ・ハルストレム監督。ジョニー・デップ。ジュリエット・ルイス。レオナルド・ディカプリオ。
1993年米国。
田舎町に住むギルバート。過食症の母、障害を持つ弟アーニーの世話に追われている。彼は町を出たこともなくトレーラーハウスが通るのを兄弟で楽しみにしている。その1台に少女ベッキーが乗っていた。車の不調で町に留まったことから2人は親しくなる。
なんと美しい映画だろう。家族の絆が見事に描かれている。ひとつひとつのエピソードが本当によくできている。そしてジョニー・デップ、ディカプリオ、ジュリエット・ルイスらが本当に若々しい。
いろいろな差別というものが根底にある。そのことへの怒りが込められているような気がする。そして怒りよりも優しさを監督は描いてみせた。
*<60>「ラウンダーズ」
ジョン・ダール監督。マット・デイモン。エドワード・ノートン。ジョン・タトゥーロ。ジョン・マルコヴィッチ。
1998年米国。
ポーカー好きの法学部学生のマイク。3万ドルを失いギャンブルから足を洗うが、悪友のワームが出所してきた。彼の借金のために再び、賭け事の世界に戻ることになった。
あの人気者?マット・デイモンが出演したが、興行成績はイマイチだったらしい。それというのも、ギャンブル映画にしては話が地味だよなあ。結局、ポーカーは心理ゲームで運なんか関係ないぞ、プロは、ってことらしい。そりゃあわかるけど、でも花がないんだよな。敵役のロシアマフィアのKGBとの闘いも盛り上がらないし。悪友のエドワード・ノートンもインパクトにはならず。
*<61>「未来は今」
ジョエル・コーエン監督・脚本。ティム・ロビンス。ポール・ニューマン。ジェニファー・ジェイソン・リー。
1994年米国。コーエン兄弟に、脚本にサム・ライミが加わっている。
バーンズは巨大企業ハッドサッカー社のメールボーイ。オーナー社長が自殺し会社がピンチになったことから彼はいきなり社長に。かいらいのはずが考案したフラフープが当たり、さあ大変。会社乗っ取りを狙う古参重役たちは彼の失脚を画策する。時は1958年暮れ。アメリカの往時はきっとそんな雰囲気だったのだろう。
ジェニファー・ジェイソン・リーの女性記者はちょっと今に通じるか。おなじみスティーブ・ブセミがビートニクの酒場のバーテン役で登場。ラストシーンのストップモーションは反則技だが、映画ならではの筋運びか。意外と癖のない楽しい作品でした。
*<62>「39/刑法第39条」
森田芳光監督。鈴木京香。堤真一。樹木希林。岸部一徳。江守徹。杉浦直樹。
刑法39条によって、犯罪をおかしたものはその罪を減じられる。しかし、それはその人間の尊厳を排除するものじゃないかというプロパガンダである。本作について言うことはそれだけだ。
これは心神喪失者の犯罪と言うより高度な知能犯を補助線として刑法を撃つことを主眼とした。オレは少年法にしろこの心神喪失にしろ近年の人権逆流の中で揺すぶられていると見る。これは一見正しいように見えるだけだ。それは世の中、資本主義、近代合理主義が一番という傾向と同じだ。
だが、一つの価値観で全てを律しようと言うのは正しくない。経済効率は家庭や教育や福祉に単純に導入されてはならないのだ。同じように、子供というものは大人とは違う。そして社会に不可欠な緩衝装置を破壊してしまう。このことを深く憂慮している。
鈴木京香と堤真一が恋するほどの演技と映画の出来とは無縁である。
*<63>「ワイルド・アット・ハート」
デビッド・リンチ監督・脚本。ニコラス・ケイジ。ローラ・ダーン。ウィレム・デフォー。イザベラ・ロッセリーニ。
1990年米国。
恋人ルーラのためなら命がけのワイルドな男セイラー。だが、ルーラの母親は異常なほどに娘を愛していた。カリフォルニアに旅立った2人を母親と殺し屋が追う。しかし、旅の途中で強盗に誘われたセイラーは警察に捕まってしまう。
いやあ、デビッド・リンチ監督はやっぱり変態ですね。普通のストーリーの一瞬一瞬に怪しげなカットを挿入する。今風に言えばサブリミナル的なんですね。熱い男の生き様がしっかりと伝わってきます。本当にアメリカ的なロードムービーです。
*<64>「タロス・ザ・マミー 呪いの封印」
ラッセル・マルケイ監督。ジェイソン・スコット・リー。ルイーズ・ロンバード。クリストファー・リー。
1998年米国。
3000年前の古代エジプトの悪行王子の封印が探検隊によって解かれてしまう。そのタロスのミイラがロンドンの博物館に展示された。そのころから不可解な殺人事件が相次ぐ。死体はどれも臓器が一つずつ持ち去られていた。考古学者の孫娘サムと米国人刑事リライが真相を探ろうとするが。次第に危機が忍び寄っていた。タロスは甦るのか?
途中まではありがちな展開でした。結末は意外です。まあ、ミイラとりがミイラになるってやつですか。この終わり方で人類はどうなるのか不安ですが。
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