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北海道文学を中心にした文学についての研究や批評、コラム、資料及び各種雑録を掲載しています

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見逃しミーハーシネマ館  1999〜2003
 なんというか、映画に嵌まっていた頃に、ビデオも借りまくっていた。

 ビデオ・グラフィティ・ノート 2001-2   16~29  

*<16>「ザ・ディレクター[市民ケーン]の真実」
ベンジャミン・ロス監督。リーブ・シュレイバー。ジェイムズ・クロムウェル。ジョン・マルコビッチ。メラニー・グリフィス。
 映画史上の傑作と言われる「市民ケーン」ができるまで。新聞王ハーストの傲慢な性格を見て25歳の俊英ウェルズの挑戦が始まる。
 自分のプライバシーを守るため、ユダヤ人の映画製作者たちを脅迫。そして、映画は未公開のまま焼却されようとする。しかし、ウェルズは独裁者ヒットラーの欧州侵略をひきながら自由の国の自由な表現の必要を訴え、公開にこぎつける。
 ある意味で、勉強にはなったが、食い足りない。映画の裏の真実を聞くには、別の表現もありうるだろう。

*<17>「グリーン・デスティニー」
アン・リー監督。チョウ・ヨンファ。ミシェル・ヨー。チャン・ツィイー。チャン・チェン。
 伝説の名剣「グリーン・デスティニー」を巡る男女4人の運命。その剣の使い手リー・ムーバイとシューリン。貴族の娘イェンと盗賊の青年ロー。そして謎の女剣術家の碧眼狐。
 耐える愛、導く愛、奪う愛、慈しむ愛などが4人の間で繰り広げられる。イェンが最後に見せる献身にも心を打つ。なによりも素晴らしいのは、「マトリックス」に匹敵する活劇シーンだ。ただ、ワイヤーアクションもたくさん見せられると食傷でもある。個人的にはテーマ性にもっと力を入れ表現してほしかった。

*<18>「私が愛したギャングスター」
サディウス・オサリヴァン監督。ケビン・スペイシー。リンダ・フィオレンティーノ。
 粋なギャング=マイケル・リンチ。彼は筋金入りの反体制である。妻と子供、そして愛人たちと幸せに暮らすことをポリシーにしている。裁判所も市長もそれを追いつめる警察も彼には一目置いている。ひょんなことから名画を盗んだことから、絶体絶命のピンチが訪れる。それを巧妙に乗り切るのだが。
 ケビン・スペイシー。なんともうまい。そしてインテリで反体制でファミリーでクールなギャングを楽しんでいる。

*<19>「リプレイスメント」
ハワード・ドイッチ監督。キアヌ・リーブス。ジーン・ハックマン。オーランド・ジョーンズ。
 「マトリックス」のキアヌ・リーブスが1年ぶりに出演したという映画。
 アメラグのスター選手たちがストに入ってしまった。そこで、急遽集められたオチこぼれたち。期間限定の4試合でリベンジを果たしていく。
 キアヌは元大学の名選手ながら大敗のショックでさえない生活を送るファルコ。その彼が熱いハートのクオーターバックとしてチームをリードしていく。お決まりのアメリカ的なリベンジ・ヒーロー物語。この単純さがいいといえばいいし、ダメといえばそれまでか。

*<20>「レッド・プラネット」
アントニー・ホフマン監督。キャリー=アン・モス。ヴァル・キルマー。トム・サイズモア。
 21世紀の地球環境悪化から火星に活路を見いだそうとしていた。そこで調査隊が向かうが、太陽フレアの影響でトラブルに。クルーは火星に降り、女船長は母船に残る。なんとか酸素呼吸は出来、連絡は取れるが難問が次々と襲う。ロボットの反乱や虫たち、そしてクルーたちの思惑のズレ。なんかくどいだけのSFですね。いろいろとカッコイイ画像もあるのですが、生きていません。

*<21>「PARTY7」
石井克人監督。永瀬正敏。浅野忠信。原田芳雄。小林明美。我修院達也・
 郊外のホテル・ニューメキシコ。そこはのぞき部屋つきの変態ホテル。そこに訳ありの金を持って逃走中のチンピラ三木が訪れる。さらに昔の女、その婚約者、チンピラの兄貴分、ヤクザが闖入。のぞき部屋にはキャプテンバナナ、青年の2人がじっと見ていた。
 監督は「鮫肌男と桃尻女」で大ヒット。今回もツボを押さえたディープな笑いが炸裂します。とはいえ、今回は一種の密室劇ですが、展開がどうも重く感じました。

*<22>「17歳のカルテ」
ジェームズ・マンゴールド監督・脚本。ウィノナ・ライダー。アンジェリーナ・ジョリー。ウーピー・ゴールドバーグ。
 思春期少女の精神病棟の日々。スザンナは薬物により自殺願望を持っている。このため両親により入院させられる。そこには拒食症や虚言癖や自己破壊衝動に駆られた少女たちがいた。そしてリサという女の子は脱走常習犯だった。スザンナは自分の居場所がわからなかったが、リサの指導力に魅せられて、閉鎖空間の中に喜びを見いだしていく。
 だが、少女たちにも訣れの時が来る。それは自己の純粋性から猥雑な外界で生きることを決意したときだ。ウィノナ・ライダーは頑張っているが、アンジェリーナ・ジョリーが圧倒的にいい。

*<23>「ダイナソー」
ラルフ・ゾンダッグ&エリック・レイトン監督。
 ディズニーのアニメ。太古の恐竜時代。隕石が落ちて、環境激変。そこで繰り広げられる困難な旅路を描く。ストーリーはまったくひねりもなにもなし。とにかく精細に描かれたCGの素晴らしさに驚かされる。

*<24>「サウスパーク」
トレイ・パーカー監督。
 超お下品なラジカル・アニメ。
 カナダの下ネタ・ギャグのテレンス&フィリップの映画。これを見てしまったサウスパークの4人組は感化されてしまう。このため、母親たちは大慌て。T&Fを逮捕するは、子供の頭にVチップを埋め込む。そしてついに米国とカナダは戦争にまでなってしまう。一方、地獄では悪魔とフセインが地上の支配を画策している。という途方もない壮大なスケールのマンガ。
 放送禁止関係なく、言いたいことを言い、考えたいことを考える。示唆するところ大のこれを傑作と言わずしてなんといおうか。

*<25>「アンジェラの灰」
アラン・パーカー監督。エミリー・ワトソン。ロバート・カーライル。
 フランク・マコートのピュリッツアー賞受賞のベストセラーの映画化。「子供の頃を振り返ると、よく生き延びたものだと思う。もちろん惨めな子供時代だった。だが、幸せな子供時代なんて語る価値もない」。この冒頭の言葉にすべてが象徴される。
 1930年代のアイルランド。米国から失意で戻った一家は父は飲んだくれ、母は悲嘆にくれ、子供たちはそれ以上に苛酷な運命にさらされている。主人公のフランクはそれでも負けない。いつか米国に行くのだ! その夢を胸に生きている。この不幸を好まないが、なんとも雨に煙り、雨水に塗れた道路が切ない。
 母親のエミリー・ワトソンは「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」で好演。父親のロバート・カーライルは貧しい心優しい酔っぱらい! ぴったりです。

*<26>「15歳 学校W」
山田洋次監督。金井勇太。麻美れい。赤井英和。秋野暢子。小林稔侍。
 大介は横浜の中学三年生。学校に行かなくなって半年。家を飛び出し、縄文杉のある屋久島を目指してヒッチハイクの旅に出る。途中で出会うトラック運転手や老人、青年たちとの触れ合い。なんだか主人公は吉岡秀隆じゃないのかというほどワンパターン。山田洋次はやはり飽きる。映画はうまいけど。

*<27>「ペパーミント・キャンディー」
イ・チャンドン監督・原作・脚本。ソル・ギョング。ムン・ソリ。キム・ヨジン。
 韓国の苦い青春映画。
 1999年、事業も失敗し、すべてを失った男キム・ヨンホ。彼の喪失の歴史を遡っていく。3日前から20年前まで。そこには変わらぬものと変わるものがある。
 20年前、既に彼は既視感に襲われ、実はその後の20年は余生だったのか。むしろその後の20年は夢であるかもしれない。そこにあるのはありうべき像を求める渇仰に似ている。主人公役のソル・ギョングは暴力性を吐き気がするほど見事に演じている。体制側を生きた人間の絶望には同情は起きないが。

*<28>「美術館の隣の動物園」
イ・ジョンヒャン監督・脚本。シム・ウナ。イ・ソンジェ。アン・ソンギ。ソン・ソンミ。
 「八月のクリスマス」「カル」のシム・ウナの主演のコメディー。
 恋を夢見るビデオカメラマンの彼女はシナリオを書いている。そこにその部屋の元の住人の男が帰ってくるが。恋人は既に出て行っていた。ふられた男と夢見る女の奇妙な同棲が始まって。二人は現実に思いを寄せる男女を主人公にシナリオを書く。
 パラレル・ワールド的に一進一退で恋は進みます。結末は予想通りのハッピーエンド。シム・ウナは役とはいえ、もったりしすぎています。

*<29>「三文役者」
新藤兼人監督・脚本。竹中直人。荻野目慶子。吉田日出子。乙羽信子。
 天下無敵のアナーキー・無頼派の芸人・殿山泰司の一代記。新藤兼人・乙羽信子の近代映画協会との交流を軸に描かれる。
 この稀代の役者バカの必死さが伝わってくる。とはいえ、若干仲間内の映画になっているのが気にはなるが。京都で見初めた赤坂の「側近」キミエを荻野目慶子が体当たりで演じる。恥毛も隠さずの熱演。娘から老女までしっかりと見せている。

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