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北海道文学を中心にした文学についての研究や批評、コラム、資料及び各種雑録を掲載しています

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シネマミーハーらくがき帳 1999〜2003
 なんというか、映画に嵌まっていた頃があり、雑文を書きまくっていた。

 シネマ・グラフィティ・ノート 2002年 その4  

*46<516>「MIBU」
バリー・ソネンフェルド監督。ウィル・スミス。トミー・リー・ジョーンズ。ララ・フリン・ボイル。
 おなじみエイリアン監視官の黒服男たち。今回はセクシー美人になりすました蛇蛇エイリアンが大暴れ。MIBの本部を占拠してしまう。これに対して、Jとパグ犬のフランク、そして郵便局長になっていたKが立ち上がる。もっとも記憶を消されていたKは今回の事件のカギを握っていたのだが。
 ヘンテコなエイリアンには、あまり驚かない。まあパグ犬が笑わしてくれる程度か。それほど事大的にならず、ツボを押さえた笑いで適度な短さが気持ちよい。

*47<517>「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」
ジョージ・ルーカス監督・脚本。ユアン・マクレガー。ナタリー・ポートマン。ヘイデン・クリステンセン。
 さて、スター・ウォーズのエピソードシリーズはダース・ベーダー誕生の軌跡が語られる仕組みだ。今回はアナキン・スカイウオーカーがアミダラに恋をしていくこと。その一方で傲慢さが彼を支配していくことが示される。パラレルに共和国がフォースの暗黒面に支配されていき、クローンを作って軍事大国になってしまう姿も描かれる。若者はなんともせつない。
 みどころはパワーアップしたCGと未来社会空間のかっこよさ。若い(といっても十分にじいさんだが)ヨーダがライトセーバーを握り超能力合戦を演じる場面も。でも、結局、紙芝居じゃないが、次作を見なきゃだめだよ、という中途半端さが残る。なんかこういう作り方って反則だよなあ。

*48<518>「ワンス&フォーエバー」
ランダル・ウォレス監督。メル・ギブソン。バリー・ペッパー。マデリーン・ストウ。
 1965年ベトナム。アメリカ軍はイア・ドランの谷で北ベトナム軍と激突した。400人対2000人。血で血を洗う死闘を描いたノンフィクションの映画化だそうだ。
 主人公は歴戦の中佐とUPIの記者。この初戦でアメリカは辛くも勝利するが、それが長い泥沼の敗戦の始まりとなった。映画は家族の姿を挟みながら激烈な戦闘を飽きるほど見せつける。
 いやだな。戦争は。そういう気持ちにさせられるから反戦映画かもしれない。だがね、やっぱりアメリカの兵士は祖国のために戦ったっていうヒロイズムには辟易する。アメリカはなんのために戦ったのか? そこがあいまいだもんなあ。自分の傷はいやすが反省しない国の映画に終わっている。

*49<519>「ブレイド2」
ギレルモ・デル・トロ監督。ウェズリー・スナイプス。クリス・クリストファーソン。レオノア・ヴァレラ。
 ヴァンパイア・ハンターのブレイド。人間との混血であるが、血清で体の変化を押さえ、持ち前の超絶技巧で闇の吸血鬼たちを倒している。
 今回はチェコのプラハ。そこにヴァンパイアも恐れる死神族(リーパーズ)が出現した。このため、休戦協定を申し入れてきたヴァンパイアと協同で戦いに立ち上がる。しかし、死神族には秘密があった。彼らこそはヴァンパイアの進化形態であった。それは重大な罠でもあった。
 1個二重の戦いに、ブレイドの技は一段と冴える。前作「ブレイド」以上にカンフー、日本刀での剣舞などの特撮はパワーアップしている。

*50<520>「アイ・アム・サム」
ジェネシー・ネルソン監督。ショーン・ペン。ミシェル・ファイファー。ダコタ・ファニング。ダイアン・ウィースト。
 知的年齢が7歳の父親。母親が娘を産み捨てた後、スターバックスで時給8ドルにもめげず健気にも一人で育てている。彼を助けるのはジュリアード音楽院を首席で卒業したひきこもりの女性。だが、娘が7歳の誕生日を迎えたとき、悲劇はやってくる。
 この父親に、普通に成長していく娘を育てられるか? 施設に預け、里親をつけた方がいいのではないか。おっせかいにも行政はそう判断する。
 だが、父親はひょんなことから敏腕の女性弁護士の支援を受け、娘奪回に挑む。結局、父親と娘は「LOVE IS ALL YOU NEED」と元の鞘に収まる。何が変わったか? みんなの心に助け合いと自立が目覚めた。そこが救いだ。いい映画だと思う。

*51<521>「少林サッカー」
チャウ・シンチー監督・脚本・主演。ン・マンダ。ヴィッキー・チャオ。カレン・モク。
 なんといっても非常識である。けっつ、ハリウッドだろうが、ワールドカップだって欧米至上主義じゃん。それならアジアの本物を見せてやろう。って言うんじゃないだろうが、サッカーに少林寺拳法を加えたら怖いモノなし。
 失意のサッカー監督と食えない少林寺の達人グループが大同団結。サッカー界を牛耳るボスに戦いを挑んでいく。なにしろサッカーを知らない連中が、次から次に超絶技巧を繰り出していく。凄い。鋼鉄の足に鋼鉄の頭、ボールは地響きをたててゴールに突き刺さる。これに対してボスは米国流の薬物投与で筋力強化、さすがの少林寺もピンチ。ここに助っ人登場。昼はまんじゅう作り、その実態は大極拳の達人の娘さん。彼女の技と少林拳が加わって、フィールドは圧倒される。
 荒唐無稽と知ってのおもしろさ。リアリズムなんてくそ食らえの映画魂が躍如としている。

*52<522>「猫の恩返し」
宮崎駿企画。森田宏幸監督。声・池脇千鶴、袴田吉彦、前田亜季。丹波哲郎。
 猫の王子を助けたのが縁で、猫の王国に入り込むことになった17歳の高校生ハル。猫の事務所でハルを助けるバロンとデブネコ。王と王子の葛藤、女の子の迷いやら、いろいろドラマはある。
 だけど、猫の王国のインパクトも女の子の現実脱出のモチーフも弱い。なんとなく、猫の国もいいかな、じゃなあ。宮崎作品にある濃厚なロリコン的部分が森田作品にはない。宮崎のような偏執ぶりが実はエロスから生命の飛躍(エラン・ビタール)に到るのだが、ここでは届いていない、

*53<523>「タイムマシン」
サイモン・ウェルズ監督。ガイ・ピアーズ。サマンサ・マンバ・ジェレミー・アイアンズ。
 H.G.ウェルズの名作を、その末裔が映画化したというのがウリ。だけど、まったく困った話になってしまっている。
 1899年のニューヨーク。恋人の死に遭遇した科学者のアレクサンダー。その運命を変えようとタイムマシンを発明して過去に戻る。しかし、運命は変えられない。そこで未来に助けを求めようとする。そして2030年、さらには80万年後の世界に飛んでいく。
 だが、超未来の世界は人間が人間を襲う断末魔の時代になっていた。その運命を変えるべく彼はタイムマシンを武器に戦う。それで? それだけ。映像はグロテスクな部分が気になって冴えません。

*54<524>「スチュアート・リトル2」
ロブ・ミンコフ監督。ジーナ・デイビス。ヒュー・ローリー。ジョナサン・リブニッキー。
 スチュアート家にやってきた小さなネズミの弟。「スチュアート・リトル」のシリーズ第2弾。
 今回は彼にひょんなことから小鳥のガールフレンドのマーガロが現れる。サイズが小さいために孤独だったリトルは家族のように彼女を扱う。しかし、マーガロは大きな鷹の手先にされており、ママの大切な指輪を奪い姿を消してしまう。彼女を探す冒険が始まる。
 いまさらCGに驚いてもしょうがないが、このリトルがなかなかよくできている。ハッピーエンドはアメリカらしいが、いささか教訓話が多いのがうっとおしい。でも適度な短さで、ハラハラドキドキ、楽しく見られる。

*55<525>「アイス・エイジ」
クリス・ウェッジ監督。カルロス・サルダーニャ共同監督。
 氷河期のこと。多くの動物が南へ向かう。このとき、ひとり北へ向かうマンモスがいた。彼の名はマニー。ひょんなことから一緒になったナマケモノのシド、そして人間の赤ん坊。腹に一物を隠し持ったサーベルタイガーのディエゴとともに、冒険のたびをする。
 ストーリーはかなりご都合的だが、CGアニメがとってもきれいで、立体感もある。なんか友情物語のよううだけど、残念ながら感動はない。それにしてもリスのスクラットは騒がしい。

*56<526>「怪盗ブラックタイガー」
ウィシット・サーサナティヤン監督。チャッチャイ・ガムーサン。ステラ・マールギー。
 昔マカロニ・ウェスタン。今はムエタイ・ウェスタンってか。なんとも変わったメイド・イン・タイ映画です。
 知事の娘と農村の区長の息子。いつしか好き同士に。かまってくれない息子の笛を壊した少女。連れて行った蓮沼で少年は悲恋伝説を語る。悪童から少女を助けるために額に三日月の傷ができた。少女は少年にハーモニカを送る。
 時は流れ、大学で出会うが身分の違いから青年は自分を他人という。だが、またも悪童の成れの果てから乙女を守ろうとして大学をやめさせられる。別れの日、青年は初めて海を見せてもらう。そして、田舎に戻った青年は父親を殺され、ひょんなことから盗賊の一味に。その名も拳銃の名手・怪盗ブラックタイガー。蓮沼で会う約束の日、タイガーは遅れ、乙女は警官の嫁となる。いろいろあるが彼女を助けるタイガーは夫の警官に殺されてしまう。
 ストーリーはテーマが反復しているのがわかる。献身。つまり男は女のために尽くして悲劇を引き受ける。それがアジア的な仏教的な味となっている。いろいろ稚拙だが、シュールな色使いがイカしている。背景に絵を描いた森での決闘シーンは最高。これは神戸にて観賞。

*57<527>「ドッジGO!GO!」
三原光尋監督。筧利夫。田島有魅香。益子直美。温水洋一。小倉久寛。
 ドッジボールにかける小学生の友情物語。山の手チームに負けている港チームのキャプテンゆきこ。6年生の最後の年こそライバルに勝とうと張り切る。しかし、メンバーは減り、父親は再起をかけ韓国のプロ野球選手に。ゆきこも引っ越ししてしまう。だが、逆転の発想。韓国のキムチパワーとタイアップして逆襲作戦を決行する。
 作品としては物足りない。でも、なんか熱い。これは神戸にて観賞。

*58<528>「暗い日曜日」
ロルフ・シューベル監督。エリカ・マロジャーン。ステファノ・ディオニジ。ヨアヒム・クロール。ベン・ベッカー。
 1930年代のブダペストのレストラン・サボー。ユダヤ人のラズロと恋人イロナはピアノ弾きの青年アンドラーシュを雇う。イロナとアンドラーシュはたちまち恋に落ちる。ラズロはしかし2人を認め、一方、イロナもラズロを捨てようとはしない。不思議な三角関係が続く。イロナの誕生日にアンドラーシュは「暗い日曜日」という曲を送る。
 それは官能的に美しく、人びとのこころをとらえる。レコードは大ヒットするが、しかし、魅せられた人びとの自殺が相次ぐ。その曲に秘められたメッセージを探そうとするが、見つからない。
 ドイツ人―ナチス将校となるハンスが現れ、時代は第3帝国の夢魔の世界に取り込まれる。絶望の中でアンドラーシュは自ら命を絶つ。ラズロはユダヤ人狩りの恐怖にさらされながらも、ハンスとの友情で生き延びる。だが、ハンスはイロナに横恋慕し、最後にはラズロを見捨ててしまう。
 物語はファーストシーンに戻る。「暗い日曜日」を聞いて絶命するドイツ人実業家の正体が明かされる。ミステリーにしては物足りないが、「暗い日曜日」が心に残る。そして愛のコラボレーションがなんとも嫉妬を超えて美しい。これは帰省中の札幌で見た。

*59<529>「トータル・フィアーズ」
フィル・アルデン・ロビンソン監督。ベン・アフレック。モーガン・フリーマン。リーブ・シュライバー。ジェームズ・クロムウェル。
 1973年の第3次中東戦争でアメリカからイスラエルにCIAによってひそかに運ばれた核弾頭。それが29年後に、発掘され、それがファシズムの復活を狙うテロリストにわたる。テロリストは核を使って米国を攻撃し、ロシアと米国を共倒れさせようとする。それを阻もうとCIAの分析官が正確な「情報」を提供することで、立ち上がる。
 にぎやかな映画だが、正直、ひどい出来だなあ。なにしろ簡単にボルチモアで核が爆発して、町は壊滅してしまうし。一介の情報分析官が勝手にホットラインでロシア大統領を説得してしまうし。肝心なときはいつもベッド・インしているし。こんなに核戦争の悲劇を現実化させて、反戦運動はどうして起きないの? 現代は「恐怖の総和」というが、どうもアンサンブルにはなっていない。

*60<530>「スクービー・ドゥー」
ラジャ・ゴズネル監督。フレディ・プリンズ・Jr。サラ・ミシェル・ゲラー。ローワン・アトキンソン。
 アメリカのテレビのヒーロー・ドッグ。グレート・デーンのスクービー・ドゥー。彼と仲間たち「ミステリー社」は難事件を解決して活躍する。
 今回は南の島の巨大テーマパーク「スプーキー・アイランド」が舞台。楽しんだはずの若者たちが戻るときは心を失った別人になってしまう。その謎は。背後にひそむ邪悪な意志は?
 ともかくノンストップのハイテンションで冒険が続き楽しめます。「ミスター・ビーン」は相変わらずユニークなキャラで味を出します。スクービー・ドゥーには暴れん坊の甥っ子のスクラッピー・ドゥーもいるのか。カンフー美女のダフネにはサラ・ミシェル・ゲラー。「クルエール・インテンションズ」で、ライアン・フィリップと出ていた女の子か。「キューティ・ブロンド」にも相方が出ていた。

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