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北海道文学を中心にした文学についての研究や批評、コラム、資料及び各種雑録を掲載しています
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三浦綾子『氷点』『続 氷点」もうひとつの舞台・札幌を歩く
三浦綾子『氷点』は旭川の街の物語と思われがちだが、読み進めると懐かしい昭和20年代の札幌の町並みが登場してくる。主な登場人物たちはみな札幌で青春を過ごし、大きなテーマである恋愛をめぐる葛藤はすべて札幌で起こっているためだ。第一世代である辻口啓造、高木雄二郎、津川夏枝の三角関係、そして、第二世代である辻口陽子、辻口徹、北原邦雄の三角関係もまた札幌の北海道大学が中心舞台となっている。夏枝の密会相手の村井靖夫、陽子の実父の中川光夫も北大生。北大周辺を中心とする札幌の町に大きな接点を持ちつつ物語は展開していく。
ここでは、その一部を紹介する。
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『氷点』『続 氷点」の主な登場人物と関係図のPDF へ
*『氷点』を仕掛けた妄執
『氷点』は美女・夏枝を中心に世界が構成されていた。父親の津川教授、夫の辻口啓造、あきらめきれない高木、誘惑する村井、親友の辰子という具合に。夏枝は輝く夏の太陽のような存在だった。そこに現れるのがもうひとつの太陽のような陽子。「夏枝愛」の高木が啓造の人格を試すために仕掛けた「爆弾」だった。愛される存在だった夏枝が啓造への不信から陽子いじめを始め、年の離れた北原邦雄の愛を得るために陽子と女の争いをする中で、高木が仕掛けた「殺人者の娘」というフェイクが陽子の心を凍らせ、自殺行為へと追い込む。夏枝の性格の悪さは育った環境によるものでやむを得ない面がある。悲劇の責任は高木の妄執にあると言える。
<1>『氷点』の街・札幌 その舞台
■「氷点の街・札幌」地図をpdfファイルで見る
➊北海道大学 ●<陽子の下宿>*架空の下宿
『氷点』は北大キャンパス青春小説と言っても良いほど。辻口啓造、高木雄二郎は北大医学部生、啓造の妻となる夏枝は「内科の神様」と言われた教授だった。陽子もまた北大文類に入学する。父・啓造と同じく絵画サークル黒百合会に入っている。下宿はクリスチャンセンターのほど近くという設定。『続氷点』の「新芽」「陸橋」などではクラーク会館、クラーク像、古河講堂、中央道路、各学部などのようすが描かれている。
★啓造は夏枝と結婚したとき、北大の研究室にいたため、新居を構えたのは札幌だった。旭川の啓造の父の病院を引き継ぐために、夫妻は札幌から旭川へと拠点を移す。
➋ニシムラの喫茶
西村久蔵の創業した洋菓子店ニシムラの喫茶室。札幌駅前にあった。札幌に暮らす高木と旭川に暮らす夏枝の友人の藤尾辰子がこの店でばったり出会う。続編では、徹がニシムラのアップルパイを陽子のお土産にしたり、ここで食事の約束をしたりしている。
➌札幌駅
辻口啓造は旭川と札幌の往来は列車を使用。当時は、駅前に百貨店の五番館があり、その前が電車の停留所だった。駅前通りはアカシヤ並木で、啓造は夏枝とこの通りを歩いた学生時代の思い出にふける。駅の西側(西5丁目)には、おかばし⑬と呼ばれた陸橋が架かっていた。
➍大通公園 ➎時計台 ➏丸惣旅館 ➓さっぽろテレビ塔 ⑪グランドホテル ⑫札幌警察暑
辻口啓造は五番館前から市電に乗って移動することも多かったようです。当時の札幌の市民の足は路面電車でした。啓造はユトリロ風に札幌の絵も描いています。
大通公園でひと休みしていると、札幌時計台の鐘の音が聞こえてきます。時計台の前には老舗の丸惣旅館がありました。夏枝は陽子を引き取って帰るとき、しばらく丸惣旅館に逗留しています。
3歳の辻口ルリ子を殺害してしまった佐石土雄は事件の後、札幌で逮捕されますが、留置房で自殺してしまいます。警察署(中央警察暑)は北1条西5丁目にあり、大通公園からも時計台からも近い場所にありました。
➐北海道庁立札幌高等女学校
現在の札幌北高等学校の前身。夏枝の出身校か?旧制の女学校出だった夏枝は、陽子が夏枝以上の学歴を持つことに反感を持った。
❽北大植物園 ➒北海道庁
続編で、徹、陽子、北原、相沢順子の4人で訪れた。陽子は、佐石の本当の娘である順子とそれとは知らず仲良くなる。
⑭中島公園 ⑮菖蒲池 ⑯豊平館 ⑰中島遊園地 ⑱鴨川
中島公園は札幌の中心部に近い都市型の憩いの場です。辻口陽子や徹、北原邦雄らは水と緑豊かな園内でくつろいだ時間を過ごします。陽子をめぐるトラブルの原因をつくった高木雄二郎の産婦人科医院も中島公園の西側を走る市電通りの近くにあります。陽子の出生の秘密をめぐり三井恵子と徹がひそかに会うのも公園のホテルです。菖蒲池、豊平館などが点在し、かつては公園内に遊園地があり、講演の西側には著名な料亭「鴨川」があった。
⑲山愛ホテル
現在のパークホテル。このホテルのロビーで徹が三井恵子と対面する。
★<高木産婦人科>*架空の病院
高木が開業した産婦人科
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三浦綾子『泥流地帯』『続 泥流地帯』ノート
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